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アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

手塚治虫『やけっぱちのマリア』

 先日飲み会であらすじしか知らないこの作品の話をしたら受けたので、ここは一つちゃんと読んでみるか、と思い読んでみました。
 「ダッチワイフに魂が乗り移って美少女になる」というそれなんてエロゲ? 的設定なのですが、さすが医学博士の手塚先生、実際の内容はかなり正確な情報に基づく性教育漫画でした。「男らしさ」「女らしさ」というジェンダー問題に関しても踏み込んでいて、またそれに対する作者や登場人物なりの結論(のようなもの)もなかなか見事なバランスでした。
 ただ、とっぴな設定と作者の真面目さがこの場合悪い具合に相殺しあっていて、イマイチはじけきれないモヤモヤ感があります。特に最後は「そりゃあ真面目に考えたらこれ以外ないよなあ」という感じで、なんだか漫画的エンターテイメントに欠ける気がしちゃいます。
 まあ、それでもストーリーやキャラクターの心情は魅力的に描けているし、そこそこ面白かったと思います。