「レインマンになった嫁と暮らす 」を読んだ。
http://anond.hatelabo.jp/20111115103802
表題が気になったので読んでみました。主旨は「妻が震災後、放射性物質の影響を恐れて神経質になってしまい、付き合うのが大変になってしまった」ということだった。
まず気になったのがタイトルと本文の趣旨の微妙なズレ。映画「レインマン」(1988)はサヴァン症候群の兄と弟の物語なんだけど、サヴァン症候群は先天性の発達障害だから「レインマンになる」というのは喩えとしてちょっとおかしい気がする。あくまで喩えだから正解不正解はないんだとは思うんだけど、鬱病とか引きこもりとかをまとめて「自閉症」って言っちゃう危なっかしさに通じるものがあるように感じた(著者もそれには触れてはいるが)。
村上春樹が何かのエッセイで「メタファーは正確でないと絶対ダメ」的な事を書いて、メタファーをよく使う村上春樹らしいなあと思った記憶があるんだけど、上記の文章はまさにその悪い例だと思う。
あと、本文の主旨である「震災後、妻が神経質すぎる」というのも首肯しかねた。政府も東電もきちんとした対処をしているようには思えない。影響が出るのが1年後か10年後か分からないけど、とりあえず先のことだろうしどうしようもなさそうだからほっといて、何十年か経った後になってから「ゴメン人体にむっちゃ影響あったわテヘペロ」という流れにしたい魂胆が見え見えだと思う。
もちろん「かといって生活基盤を移すわけにはいかないから、必死覚悟でその場に居座る」という判断もアリ、というか致し方ないとは思う(私の判断はこれだ)。だけどそれはあくまで苦渋の決断であるべきであって、それらの議論や前提なしに「自分はまとも、妻は神経質」と書いちゃう上記リンク先の著者の態度は、事態に対して鈍感過ぎると思う。奥様の反応の方がずっとまともです。
というわけで、結論としては「著者は雨を怖がる奥様をレインマンって呼んでかっこつけてみたかっただけちゃうんか?」ということでした。