村上春樹『東京奇譚集』、新潮社、2005
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/09/15
- メディア: 単行本
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で、感想です。以下ネタバレはないけど、気になる人は本を読んでから見てください。
かなり面白かったです。『奇譚集』ということで単に変わった話を集めただけの本だと思っていたのですが(それも不安の一つでした)、ちゃんとした一貫したテーマがあり、それがだんだんはっきりしていくという構成になっていてぐいぐい引っぱられました。感じとしては『神の子供たちはみな踊る』に近く、一つのテーマを多角的に描いた連作といえるでしょう。一つ一つの物語は独立していますが、テーマは同じなので5つで1つの話といえると思います。
そのテーマというのも最近私が気になっていることと近かったためか理解しやすかったです。いわゆる現代的なテーマが気にかかってる(と自分で思っている私のような不遜な)人ならテーマを共有でき、得るところのある本だと思います。
ただ、登場人物全員がお馴染みの村上春樹口調で話すのはご愛嬌です。小学生女子から40代女性まで「やれやれ」って感じです。
以上ネタバレっぽいの終了。
久々にプロの作品を読んだのですが、やはり小説ってこうだよなと思わされました。最近自分のも含めてアマチュアの作品ばかり読み、その範囲で「小説とは何か?」を考えていたのですが、プロの広さを見せ付けられた気がしました。プロが狭くアマチュアが広いと、誰が決めた!?(ムシキング風) 小説ってこういう演出や構成が出来るものなんですよね。再確認です。
個人的にはゆーじんさんに読んでもらいたいと思いました。最後の最後はハッとさせられると思いますよ。私はさせられました。