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アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

Market Hack「米国ではコンテンツ黄金時代を迎えている」何故そうならなかった…

http://markethack.net/archives/51839638.html

信じてもらえないでしょうけど、米国ではコンテンツ、それもプロが作り込んだ、お金のかかったコンテンツが黄金時代を迎えています。

ここ数年、iPadキンドル・ファイアなどのデバイスがどんどん増えました。このことにより何処でも、何時でも、映画やTVドラマなどのハイクウォリティー・コンテンツを楽しむという新しいライフスタイルがアメリカ人に定着しつつあるからです。

これをコンテンツを持っているメディア企業の商機の面から考えると、ライセンシング・フィーを取る機会が以前よりずっと多様化したことを意味します。

なるほどデバイスが沢山普及することはケーブル・テレビの視聴者数などに悪い影響を与える事は事実です。しかし面白いのはテレビ・コマーシャルを出稿する広告主はだんだん縮小気味の視聴者にメッセージを届けるために、前よりも一層高い広告料を喜んで払っているという事実です。これは放送局を傘下に持っている企業の決算の内容にも表れています。

結果として放送局は引き続き高視聴率を獲得できる新しいTVドラマなどのコンテンツをコンテンツ制作企業から買い続けています。つまりコンテンツ企業の支配は、デバイスの細分化で弱まり、希釈化されるどころか、逆に強くなっているのです。


 日本の状況もほぼ同じはずなのに、何故日本ではプロによる映像コンテンツであるところのTVが瀕死で、ニコ動なんかによるアマチュア映像コンテンツが隆盛を誇っているんだろう…ということでいかちょっと考えてみる。


 文章を読む限りでは、アメリカではニューメディアの登場により苦境に立たされたオールドメディア側が、以前以上に金をつっこんで「プロだからこそのクオリティのもの」で勝負したから、結果勝ててるということの模様。


 じゃあ日本で同じタイミングでオールドメディア、特にTV業界が何をしていたのかというと、2011年7月のアナログ放送終了によるハードウェア買い替えの押しつけと、いわゆる「韓流」のような海外コンテンツの買い取り&放送による、制作の外部化でした。
 前者では「どんなに高くて不便になっても、国民はみんなTVを買うはずだ!」という血迷った判断により視聴者をハードウェア所有のレベルで減らした上で、残った視聴者(=比較的年齢の高い層)にはせめて高クオリティのコンテンツを提供すれば良かったものの、後者のような更に海外から買い取ったコンテンツ*1を流すという手抜きをして質の高い視聴者を更に減らすという離れ業をやってのけた、といったところでしょうか。
 アニメ好きに言わせれば、オリジナルコンテンツ制作力の低いor低かった国に低価格で放送権を売りまわったおかげで今のTVアニメーションという市場における日本の国際的優位性があるのは自明なわけです。端的に言うと、コンテンツの買い取りをしちゃうと制作力がなくても放送が成り立ってしまうので、クオリティの高いコンテンツを自国で作りにくくなってしまうのです。中国なんかはそれに気付いて日本のアニメを締め出してどうにか自国オリジナルの作品制作力を上げ、シェアを獲得したいと躍起になっているわけだけど、日本はTVドラマという市場でそれと逆のことをやっちゃったわけです。21世紀にもなって。


 日本のアニメが何故海外で受け入れられてきたのかということが放送業界で全然分析されていない気配は感じていたのですが、どうやら本当にされていなかったし参考にもされていなかった模様です。たっかい給料をもらっておきながらの高飛車商売&手抜きということであれば、市場で淘汰されるのは必然です。


 もちろん、日本ではアマチュアによるコンテンツのレベルが元々高く、ニューメディアの発達によってそれが自由に見られるようになり(ニコ動やpixivです)、オールドメディアを見る時間を食ってしまっているということもあるかもしれませんが、日本でプロによるコンテンツの黄金時代が来なかった理由の一つとして「高飛車商売&手抜き」とは言えそうです。


 ああ、すっきりした。


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*1:しかも期間限定の放送権だけの購入。後に続かない。