鬼速「いじめられている君へ さかなクン」広い海へ出てみよう。
http://blog.livedoor.jp/onisoku/archives/51674231.html
東京海洋大客員助教授・さかなクン
中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなったときがありました。いばっていた先輩(せんぱい)が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけはわかりませんでした。でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃(こうげき)し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。中学時代のいじめも、小さな部活動でおきました。ぼくは、いじめる子たちに「なんで?」ときけませんでした。でも仲間はずれにされた子と、よくさかなつりに行きました。学校から離れて、海岸で一緒に糸をたれているだけで、その子はほっとした表情になっていました。話をきいてあげたり、励ましたりできなかったけれど、だれかが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。ぼくは変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。大切な友だちができる時期、小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。
http://www.asahi.com/edu/ijime/sakanakun.html
昔読んだ文章だったんだけど、今回の件で思い出したので掲載します。
久しぶりに読んでみて、「いじめられている君へ」というタイトルのはずなのに、文章の最後の方はいじめている側への呼び掛けになっていて変だなあと思ったら、「いじめられている君へ」という朝日新聞のコーナーの中に「広い海へ出てみよう」というタイトルで寄稿していたことに気付きました。
コーナーの主旨はもちろんいじめられている人へ励ましをってことなんだろうけど、さかなくんはむしろそれを飛び越えて、いじめている側にもいじめられている側にも等しく「広い海へ出てみよう」と気遣いをしている辺りに、学者としての客観的な視線を伴った深い優しさを感じます。文章もとても穏やかで気負った感じがなく、おしつけがましくないのがステキです。
さかなくんはやはり只者ではないですね。
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