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アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

018『涼宮ハルヒの消失』(2010)

 2006年にTVアニメが初めて放送された『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズの、初の劇場版です。特にこのエピソードはファンからの支持が厚く期待は高かったわけですが、スタッフはそれに見事に応えました。


 ☆☆☆☆
 以下、見た際の感想を箇条書きで。

  • ハルヒに電話しようとするシーンで、電話帳に「佐々木」がいてドキッとする。原作を読んでる人へのちょっとしたジャブ。
  • 物語が始まりだして、キョン動揺しすぎ。私はギリギリ没入して見れたからいいけど、醒めた目で見たらギャグっぽいだろうなと思った。
  • 消失長門、全編通じてブリブリしまくりで若干退く。しかし『ローマの休日』のアン女王もかなりあざとくブリブリしてたからなあ。むしろこのくらいの方が映画としては妥当なのかも。
  • 朝倉とのエレベーターのシーン、7Fから5Fまでにしては長すぎ。あれは一種の閉鎖空間ということにしておく。
  • ハルヒかわいい。ハルヒは落ち込んだり不安だったりしても、キョンの前で(つまり劇中で)決して泣いたりしないところがすごくいい。
  • 病院の屋上のシーンは、個人的には正直蛇足かなあ、という気がしないでもない。キョンの例の台詞と長門の例のポーズを入れるためにあつらえた感じがしてしまった。
  • 原作シリーズの中では構成上重要なエピソードになっているが、映画として切り出すには難しい話だった。キョンハルヒにも長門にも恋愛感情抱いていない(と自分は思ったままだ)し、長門に対しては勘違いしっぱなしで話が終わるんだもの。まあ、だからこそ長門というキャラが切なく感じるわけだが。
  • キスどころかハグすらないという、近年稀に見るストイックな映画だった。劇中最大の直接的エロがみくるの太ももで、抽象的・動き的エロ? が前髪を触るだけ、っていう。が、別に不満はない。
  • 約3時間の大作なので、劇場だとトイレで出し切っていないと後半膀胱がしんどい。とはいえ、物語としては別段中だるみすることもなく、3時間があっという間。


 ヤマトやガンダムエヴァンゲリオンなど男の子向けエポックメイキングな作品と比較して、消失は直球で主人公(=キョン)の気持ちに肉薄した作品になってるなあ、という印象。もちろん前述の作品群も登場人物が共感するに足るものだったから一時代を築いたのだけど、この『涼宮ハルヒの消失』は、世界設定やギミックはあくまでキョン長門の心境や気持ち(孤独感、渇望、不安とかそんなの)、テーマを伝えるための環境・道具になっていて、さすが小説が原作であるだけのことはあるなあと思わされる。それでいてアニメ作品として全くつまらなくなっていないどころか面白いわけで、本当にすごいアニメが出てきたな、と思わされた。
 2010年2月6日公開ということで若干オーバーしてしまったけど、21世紀最初の10年を代表する作品として『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズを挙げることへの躊躇を払拭してくれた素晴らしい作品でした。