LM314V21

アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

自作を語る「告白」のつづき。

 この話は操山高校文学部刊行の季刊誌「すみれの花とぶたの花」"C,F SPECIAL"に掲載されたものである…と記録に残っています。何故こういう書き方になってしまうのかというと、この"C,F SPECIAL"が何を意味するものなのか、今や私自身もよく分からないからです。冊子を刊行した際の原稿データが残っているのでそれを頼りに書いているのですが、このおくづけのページが英語で表記されていたため、本来"C.F."が何を意味していたのか分からなくなってしまったのです。
 確か「春の祭典号」とか新入生歓迎時期を意味する言葉だったような。うーん。とりあえず日本語で書こうよ、当時の私…


 シリーズを重ねて高校3年生になった頃、そろそろ掲載できる回数も先が見えてきた私は、連載の最後をどう飾ろう? ということを考えるようになりました。で、考えた結果「アースとミーナの話、というところでオチをつけよう」と決めたのでした。今考えるとそれ以外に落し所は無いように思うのですが、当時は普通に(?)何か悪いやつを倒すとかそういうのも考えていた気がします。


 つづき。


 で、無難に二人の恋愛もの的な展開でもよかったのですが、"恋愛ものになりそうでならない"的な作風が好きだった(たぶん『機動警察パトレイバー』とかの影響)のと、ぶっちゃけ実年齢より上の男女の恋愛模様を書けるほど経験豊富でなかったのとで、恋愛ものの線は却下されました。友情もの? みたいな流れでもなかったし、大人の男女二人を扱うのに適した題材は何か? ということをちょっとは考えた覚えがあります。
 結果として『動く心』の流れを継いで親子ものの要素と、「黙ってるのって気まずいよね」というヘタレ主人公的な要素を主軸にすることにしました。主人公がヘタレというのは漫画などでもよくあるのですが、物語の主軸にするのは結構珍しいんじゃないか? と自分では思います。もちろん、逆に言うと小説ではかなり多くの作品が主人公のヘタレ具合=読者の共感ポイントにしているわけで*1、そういう意味では普遍的な物語構成でもあるわけです。で、男女間のそれを描いてしまえば、一応"大人の男女を扱った話"としての体面は整うかなあ…という、恋愛ものを書けない(書きたくない)ゆえの逃げ腰っぷりが作品にこうも顕著に表れてしまっているわけですね。まあ今回の主人公のヘタレっぷりはなかなかのものだし、そういう意味では作者のことを如実に描き出しているなあ、とも思えます。どうでもいいですが。


 まあそのようなコンセプトで、『動く心』と本作、後に続く『誰も知らない悲しさ』の3本で高校生活でのファンタジーもの連載を終えよう、と考えたのでした。この話はその辺を意識して書いているので、この話の後に『動く心』を読むとちょっと話が違って読めるような工夫がされていたりします。
 ファンタジーもののお話を、ヒロインとの出会いから破局までによって描くのは、当時としてはそれなりにコンセプチュアルだったんじゃないでしょうか。今ではありふれているのかもしれませんが…
 ただ本作単独で見た場合、前半のアースとミーナの両親との絡みが完全に前振りになってしまっているのが大きな難点です。どうにかしてミーナに会いに行くところから話を始められればもうちょっとマシな構成になったと思うんですけどね。

*1:ちょっと思い出しただけでも『舞姫』『こころ』『ノルウェイの森』などなど。たくさんありそうです。