立命館とかpixivとかの件に関する問題整理と私見(どっちもどっち)。
※201705311230 追記としてブックマークコメントへ返信をしました。
※201705271200 追記としてブックマークコメントへ返信をしました。
※201705261455 オチを「真っ黒」から「グレー」に修正しました。趣旨は変わっていません。
※201705261400 タイトルに「問題整理」を付け、一部文言を加筆・修正しました。趣旨は変わっていません。
※201705261025 タイトルに(どっちもどっち)を付け、一部文言を加筆・修正しました。趣旨は変わっていません。
今日、世間様を賑わせたこの話題、立命館の院出身でpixivに連載記事を持っていた私としては、結構自分事としてしっかりウォッチしていました。せっかくなのでこの件での私見をまとめておきたいと思います。
結論から言うと、研究者サイドとpixivユーザーサイド、どっちもどっちです。
まずは研究者サイドの問題点について、上記の記事に則して見ていきます。
- 固有のURLと作者名を明記し、個人と作品を特定可能にしていること
これは後述する引用の要件の一つなので、むしろないといけません。著作権法違反になります。
- 本来、18歳以上でないと閲覧できない(ゾーニングされている)小説を「有害表現」として恣意的に取り上げ、不特定多数の目に触れる形で公開していること
今回取り上げられた小説は投稿者自ら有害表現だと判断したからR18に設定されていたと考えるのが妥当です。有害表現を有害表現として恣意的に取り上げるのは、当たり前のことです。
また、一般なら有害表現とされるものでも学術目的であれば不特定多数の目に触れる形で公開されるということは普通にあります。たとえば医学書にはモザイクなどはかかっていませんし、R18でもありません。
- 作者に無断で研究データとして使用していること(学術的引用として認められるのか)
ドキュメントは現在非公開になっていますが、方々でアップされているスクリーンショット等を見た限りでは学術的引用と言っていいものでした。学術的引用であれば、無断利用に法的な問題性はありません。
pixivの利用規約では、禁止行為として「本サイト及び関連サイトにアップロードされている投稿作品の情報を、当該著作者(創作者)の同意なくして転載する行為」を明記している。
著作権法に定められた引用である以上、規約は問題ではありません。仮に日本国内に「我が家では殺人してもOK」という家庭があっても、実行すれば普通に逮捕されるのと同じです。pixivの規約より法律の方が上の概念なのです。
研究・教育利用は通常の著作権よりも広く認められており、「学術的引用」の範ちゅうとも捉えられる可能性はあるが、ユーザーの批判の多くは、モラルや倫理に即した部分にも向けられている。
この後半部分はその通りで、結果的に該当作品が非公開になってしまったことを考えれば、研究倫理には反していたことになります。
ただこれは結果論であって、普通の人同人文化にそれほど詳しくない人・今回でいえばR18の該当のpixivクラスタ外の人は「著作権法違反の2次創作R18作品をネット上に自分の意志で公開するような鋼の精神を持った人が、他所で引用されたくらいでショックを受けるほどナイーブ」なんてことは想定していません。
加えて言うと、R18というタグには本来「18歳未満は閲覧禁止」以外の制限能力はなく、特定クラスタの文化について理解と了解があることなどは求められないのです。それが作品を公開するということだし、それが嫌なら公開しない(Webにアップしない、もしくは鍵をかける)ことです。
二次創作クラスタの特殊性を前提に今回の件の良し悪しを論じるのは「俺ってこんなに繊細でこういう風に接しないとダメだからそうしなかったお前ダメ!」みたいな話ですのでナンセンスです。
もちろん研究者は本来普通の人よりはその辺りに繊細であるべきだし、結果的に関連する人たちにショックを与えて作品を非公開にしてしまったのですから、間違いは間違い、ダメはダメです。後進の研究者はこの分野の研究をする際は気を付けましょう。
やおい、BLに関する著書もある社会学者の金田淳子さんは、Twitterで「他者が趣味の範囲で書いたものを実名でなくともその人と特定できる形で了承を得ず公表するのはまずい」「研究倫理的にかなり微妙だと思う」と指摘している。
これも上記と同じく、倫理的には微妙というか、結果で言えばダメでしたと言えるでしょう。
「学術的引用」だから批判に当たらない(むしろ学術的再現性の確保のため匿名化しないのが妥当)と主張するのは可能だと思います。しかし文化人類学的な参与観察について相応の配慮が必要だとされているような意味で、同人誌やインターネット上の私人の言動については慎重であるべきだと私は考えます。
— 金田淳子@オトコのカラダはキモチいい (@kaneda_junko) 2017年5月25日
これもその通りなのですが、pixivにR18コンテンツをアップする人たちが文化人類学的な観察対象と言えるほど自分と異なった文化を持った存在だという認識が先にあったか? という話が前提として必要です。
繰り返しますが、結果的には「pixivにR18コンテンツをアップする人たちは文化人類学的な観察対象と言えるほど独自の文化を持った存在だった」ので、今回の件はいいか悪いかでいえば悪かったと思います。
というところです。
一方、当の発表の内容自体の出来は、正直あまりよろしくないように思います。
jsai2017:2M2-OS-34a-1 ドメインにより意味が変化する単語に着目した猥褻な表現のフィルタリング
Web上に投稿される情報の中には青少年にとって有害な情報,特に猥褻な意味を持つ言葉は直接記述されず暗喩により表現されることが多い.
現在pdfが非公開となっているため上記ページの概要から論じますが、まず「有害な情報」と言い切っているのがまずいです。作品が「猥褻」かどうかもかなりあいまいな判定をしているのが現状なのに、「有害」かどうかとなると、その検証(何をもって作品を有害とするのか)を先にする必要があります。
ここはせめて「有害とされている情報」と書き、本文中で「有害とされているもの」の定義をする、とした方がよかったかなと思います。
提案手法の有用性を評価する実験をR-18指定の小説を使い行った.
これもよくないですね。Web上でのフィルタリング手法に関する研究なのでWeb小説を使った、ということだと思いますが、普通に考えて「Web上に投稿される情報の中には青少年にとって有害な情報」の中で大きなインパクトを持つのは画像と動画の方でしょう。何故わざわざ「直接記述されず暗喩により表現されることが多」い程度のインパクトの弱い「小説」を研究対象にしたのかがまず問われます。
また、Web上のフィルタリングに関する研究だからWeb上の作品を対象にするのはいいとして、何故Web上に今ある作品でないといけなかったのでしょう。Web発で出版されているものを研究対象にすれば、今回のように非公開設定になったから追跡調査できません、ということもなかったはずです。
「ランキング上位の作品を抽出する必要があったから」というのは理由になりません。ランキング上位の作品10作品がWeb上の小説を代表する10作品とも言えないからです。作品数も少なすぎるし期間も限定的すぎます。
一方、出版されているものであれば売り上げなどを調査することで人気=代表的なものを抽出することは可能です*1。
実際のところは、pixivのR18小説(絵ではなく)を選んだ理由は、おそらく「文字ベースの作品の方が検索や解析がし易かったから」であり、研究テーマそのものも後付けなんじゃないか? と思います。
というわけで発表としてはあまりよろしくない出来だと思います。
が、人には出来の悪い作品でも発表して公開する権利や自由があるので「世に出してはいけないものだ!」とまでは言えません。
学会での発表ですから、上記レベルのことは発表後学会でコテンパンに言われるでしょうし、今頃修正することになっているでしょう。
というわけで発表者に関しては「結果的に悪かった」と思います。
あと一点、これは発表者ではなく学会側の対応ですが、公開を停止したのはいただけませんね。引用だったのかそうではなかったのかの検証ができません。
まあこれは「違法ではないが一部不適切(倫理的に)」だったから下げた、ということでしょう。
次、pixivユーザーサイドに関して。
上記ニュースも何故か研究発表者にのみフォーカスを当てていますが、今回の件でのpixivユーザーサイドの反応も問題ありです。
まず前提として、上記の通り引用は法的には問題はありません。倫理的には問題がありますが、それを理由に氏名も所属も公開されている個人を攻撃するのは、それこそ誹謗中傷です。
ペンネームや作品URLを公開するなんて個人情報保護法違反だ! という方もいました。第一に、個人情報保護法は事業者や自治体に課されるものであって、個人は対象外です。この点で、発表の著者は問題ありませんが、pdfを公開していた人工知能学会はグレーと言えなくもないかもしれません(後述する通りかなり薄いグレーですが)。
第二に、ペンネームや作品URLでは特定の個人を識別できないため、個人情報保護法における個人情報とは言えません。強いて言えば、著作者がコミケにサークル参加して売り子などしていた場合は、URLから足がつく恐れがあるので、グレーと言えばグレーです。それでも、目の前にいる売り子が本当に著者かどうかは識別できないので、かなりホワイトめのグレーと言えるでしょう。
第三に、そんなに大事な個人情報なら、引用されるされないの如何にかかわらず危険なので、ネットに上げとくなよって話です。
二次創作を研究対象にしていることについての指摘もありましたが、pixivのR18小説のトップ10を抽出したらたまたま二次創作だったというだけで、元々二次創作を対象とした研究ではありません。
違法性のあるものを研究対象にしていいのか? という点についてはなんともですが、それを言い出すと二次創作のあらゆる研究ができなくなってしまいます(これは戦争や犯罪の研究にも同じことが言えるでしょう)。
強いて言えば、発表の中で「これら創作物は著作権者に無断で著作物を利用した違法性の高いものです」と付記しておく必要はあると思います。
次にモラルの問題ですが、R18二次創作小説をわざわざネット上に公開している人がそこまで繊細かどうかなんて、普通の人には分かりません。自分らのコミュニティ内でのルールやマナーを前提にし過ぎです。
「アカウント作成が必要なサービスで、さらにR18指定までしてゾーニングしてたじゃないか!」という声もありますが、pixivの場合ゾーニングになっていません。たとえば書店でR18本を買う際には書店員によるチェックがありますが、pixiv内でアカウントを作ることにもR18コンテンツを見ることにもチェックは存在しません。事実上の公開状態です。
同好の志と楽しみたいだけだったのに晒しものにするなんて! という声も見ましたが、これは完全にバカッターと同じ理論です。バイト先の飲食店の冷蔵庫に入った画像を仲間内で見せびらかす目的でツイッターに上げたら思いの他拡散してバイトを首になった、おいお前ら何してくれてんだよ、俺はただ友達に見せたかっただけなのに…他人に見られて困るものはツイッターに上げるなよって話です。
精神的に苦痛を受けた! という声もあり、実際に苦痛を受けたことはお気の毒ですが、引用されること、批評されることは作品を公開する上で伴う責任です。
どうも、pixivユーザーサイドの意見は「作品を世に公開することに伴う責任」についての意識が希薄なものが多いように感じます。
二次創作については著作者からのお目こぼしでやっていながら(法的には黒)、一方で自分の作品の引用や批評(どちらも法的には白)には繊細さへの配慮を要求する、というアンバランスさを感じます。
とりあえず藤子・F・不二雄先生の名著「エスパー魔美」を読んで、世に作品を公開することの意味を考えた方がいいと思います。この件抜きにしても面白いのでマジオススメです。
あと最後にpixivの反応。個人的にはこれが一番マズいなと思いました。
pixivに投稿された作品が論文内にて転載・引用されている件につき、ピクシブ株式会社より論文の発表元である立命館大学に対し、経緯と事実関係の確認および対象ユーザーとの問題解決を要請しております。皆様がより安心してpixivを利用できるよう、引き続き本件への対応を進めてまいります。
— pixiv (@pixiv) 2017年5月25日
このツイート、「なんじゃこりゃ?」と思った方も多かったようで、リプライにて何人かの方が指摘をしていました。
転載(文章や作品をよそで使うこと)と引用(転載のうち、著作権法で定められ法的に認められたもの)は個別の概念であり、どっちか、もしくはどっちでもない、ということはあっても、どっちも、ということはありません。もし引用と転載の違いが分かっていればこういう書き方はしないはずです。
つまり、社内に著作権に関する専門家は元より、ちょっと知った程度の人間もいない、もしくは広報サイド(ツイッター運営担当者)と連携が取れていないということの証左になってしまっています。これはコンテンツに関わる企業として相当ヤバイですし、特にpixivは二次創作コンテンツの宝庫で著作権違反が常態化していますからなおさらです。
というわけで、どっちもどっち&pixivさんは大丈夫? という感じでした。
上記ツイートによるとpixivは立命館大学に対し「経緯と事実関係の確認および対象ユーザーとの問題解決を要請しております。」とのことなので、何か進展はあるでしょうから、引き続き見ていきたいと思います。
立命が「法的には問題ないけどモラル的にはダメだったね! ごめんね!」って表明して終わり、って感じかなあと思います。
あとどうでもいいけど、最初に紹介した「モラルを疑う」とぶち上げているBuzzFeeDの記事中のツイッターのスクリーンショットは全文転載なので引用の要件を満たしていませんし、ツイッターの規約違反なのでモラルどころか法的に真っ黒なのでした(オチ)。そっちも同じくモラルの上でグレーなのでした。
※追記
上記の修正について。引用は原則引用元の一部のみ、コピーであれば全体の50%まで、という慣例から当初「真っ黒」としました。ブックマークにてご指摘を受け改めて法律家に確認したところ「ケースバイケース」とのことでしたので修正しました。ご指摘いただき、ありがとうございました!
上記の記事の場合、全文引用である他、引用元の情報を加工してしまっているので、引用の要件を満たしているか否かについては議論の余地があります(どちらも、別にいいというケースもあります)。
引用でない場合、ツイッターの利用規約上はAPIでの埋め込み以外(スクショ)の掲載は規約違反です。今回のケースの場合、投稿者に許諾を得ているため、それでも規約違反になるか? については、本人が許諾してるんだからいいじゃんという意見も、本人が「やっぱり掲載やめて!」と思った時にそれが自分の意志でできない(APIの埋め込みであれば非公開にすることで可能)のでダメという意見も成立します。
なお、学会のレポートそのものは著作権法第32条第2項により転載OKと考えられます。一方、現在非公開になったものをスクショで公開し続けさらに加工まで施すことについてはグレーです。
いずれにせよ、真っ黒とまでは言えないので、グレーと修正いたしました。どうでもいいところでオチにさらに変なオチがついてしまいました。。
(追記)ブックマークコメントへの返信
ブックマークやコメントありがとうございます。いただいたコメントでレスできていなかったものについて、こちらで返信させていただきます。
POTPOTATO さん
>どっちもどっちという事は無いと思います。今回の件はpixivユーザーにとって完全な奇襲になってしまっています。
>また自分の価値観だけが普通で異なる価値観を持つ人は普通でないという考えは極めて傲慢なものです
まさにおっしゃる通りで、「今回の件は完全に奇襲だ」という、pixivユーザーサイドにとっては普通の価値観が、異なる価値観を持つ人にとってはそうではない、という話です(pixivユーザーサイドが「極めて傲慢」とは私は思いません)。
既に公開されているものを引用し別の場所で公開することが「奇襲」と捉えるのは、特定のクラスタでない人が理解できなくても仕方ありません。
記事内に書きましたが、R18であることは「18歳未満には有害たりえる表現があるので閲覧を禁じます」という以外の意味はありません。特定クラスタに理解の無い人が読むことは制限できないのです。
私が研究者サイドのことを「普通」と書いたのが理解が深まらない原因だと思うので、該当箇所を「同人文化にそれほど詳しくない人」と書き直しました。「普通VS特殊ではなく、特殊VS特殊(前提:みんな特殊)」です。
amamako さん
>よくまとまっているまとめ。Pixivはこれかなりまずいよなぁ。
ありがとうございます。pixivはユーザーサイドに立って見せたいがために先走っちゃった感がありますが、発言から察するに、全部明らかにするとユーザーサイドが不利というか、今後サービスを不便なものにするしかないという状況をよく分かっていない気もします。どうなるんでしょう。。
ChieOsanai さん
>はぁ? なんでこれでどっちもどっちになるんだよ。論文の出来なんて関係ないだろ。
前提として、該当のドキュメントは研究途中というかスタート段階の構想発表用のもののようですので、まだ論文と呼べる段階ではないと考えられます。なのでこの記事内では「発表」とさせていただいています。
発表のドキュメントのクオリティと、研究に対する姿勢の良し悪しは不可分です。仮に発表の質が良かったなら、そもそももっと調査対象クラスタについて入念に調べ、相手先の価値観を念頭に置いた調査方法をとったでしょうし、そうすれば今回のようなトラブルを避けられたかもしれません。
そのため、発表の出来が今回の件に「無関ない」とは言えないと思います。なので発表内容そのものについても記事内で取り扱いました。
ただし、研究の出来が悪かったことだけがトラブルの原因であり、それこそが犯人だ、とも思いません。上記のポットポテトさんへのレスにある通り「公開されている作品の引用はできて当然VS同好の志以外のいるところに人の作品を無断で公開するなんて奇襲だ」という価値観の相違や、pixivユーザーサイドの過敏な反応、作品を公開するということへの認識の甘さも原因だと思います。
第一、出来が悪いことが罪だなんてことになったら、研究も同人活動もどっちも共倒れですね。
というわけで、発表の出来は今回の騒動の原因の一つではあるが、原因はいろんなところにあり、だからこそ「どっちもどっち」だと私は思うのです。
turanukimaru さん
>"普通の人は「(略)2次創作R18作品をネット上に自分の意志で公開するような鋼の精神を持った人が、(略)ナイーブ」なんてことは想定していません。"。相手の人間性を想定する気はない、ということ?流石にそれはちょっと
相手の人間性を想定する気はない、ということではありません。
既に公開されている作品を引用・批評するのは方でも認められた公然の行いであり(だから法律で認められているのです)、人格攻撃でも何でもなく、それをされたら傷ついた、なんてことは、想定外でも仕方ない、ということです。チエ・オサナイさんへのレスにある通り、想定できてたらよかったとは思いますが…
実際、件の発表の概略では著者の人格や人間性には触れていません。今はドキュメント自体が非公開になっているので確認しようがありませんが、おそらく中身もそうでしょう。
R18と著者自ら指定してある作品を有害作品と呼称することや、ドキュメント内で特定のキャラ名を出すことなどは、不用意だとは思いますが、著者の人間性の否定とは言えません。そう捉えるのは繊細過ぎる、というのが私の考えです(ドキュメント内でもし著者への誹謗中傷や人格攻撃がされていたら、話は別です)。
ところで、今回は情報系の研究でしたので「人格攻撃はNG」を前提としましたが、文学などの作品研究や評論畑では、作品の作者への人格攻撃など日常茶飯事ですよ。
最近ひどいと思ったものを以下ご紹介しますが、作品を公開するということは、こういう理不尽とも思える批評にも晒されるということと表裏なのです。個人的には、こういうのはイヤですけどね。
lenhai さん
>BuzzFeedのは32条「引用」ではなく41条「時事報道のための利用」だから引用要件は不要ではとの指摘かな
ありがとうございます! その条項は見落としていました。大変勉強になりました。専門家はこの条項を前提に話してたのかもです。
>該当作品が非公開になると研究倫理に反するという理屈が不明
①追跡調査や検証ができず、研究のクオリティを上げられないから
②後進が同じクラスタを対象にした研究がしにくくなるから
③これらを想定して対象に慎重に接するべきだったのにそうしなかった
という「研究としてよくない」という点に加え、
④作品を非公開にさせることは社会の発展を阻害するから
というのもあると思います。というのも、情報理工学は応用研究であり、社会の発展に寄与するものであるべきで、今回のアマチュア小説に限らず、ある作品を非公開に追い込むことは、社会の発展に対してマイナスという立場をとるのが妥当です。研究者自身、研究の公開で成り立っているわけですし。
ただ、今回は研究者のうかつなところと対象クラスタの繊細なところがかち合った哀しい出会いだった面もあるようですので「研究倫理に反する発表だ」というよりは「結果的には研究倫理に反していた」かなと思います。
>学会発表だから研究途中で質が低いのも普通のような
私もそう思います。今回の件の原因の一つではあると思いますが、全責任があるとは思いません。
flowermaze さん
>小説を全コピして分析に使っているので著作権法47条の7「情報解析研究のための複製等」に相当するかどうかの話でしょうし、この条項の成立経緯を考えると「引用」の範囲を超えている気がしますが、いかがでしょうか。
今回の問題の根幹は「小説を"全コピして"使った」点ではなく、筆者の望まない情報(本文一部抜粋や著者名、URLなど)を意図しない形で公開した、という点ですから、全コピという研究上の手法は、「そもそも2次創作自体違法じゃね?」と同じくらい関係ない話だと私は思います。仮に今回の研究が情報解析ではなく文芸評論とか社会調査とかで、著者名や作品URL、文中の一文が抜き出されてただけだったとしても「全文じゃないからOKだね!」とはならないでしょう。
一応分析すると、ご指摘の通り著作権法47条の7「情報解析研究のための複製等」に適った形で解析されているかという点で、適っていればOK、適っていなければNG、場合によっては(たとえば著者が訴えるとか)まずい立場になります。ただ、現実的にはこの程度のミスで訴えられるとかそういうことはあまりないでしょう。「下手だったね、今後はちゃんとしてね」くらいのお咎めくらいじゃないでしょうか(そしてたぶん今回の筆者たちはその程度のお咎めは既に受けていると思います。ドキュメント非公開にされてるし)。
また、全文コピーは引用の範疇を超えているおそれがあります。なので ①情報解析は情報解析のルールにのっとって行った ②特に言及に値する部分は原文からの引用を行った と2つのやり方でドキュメントを作成しているのではないでしょうか(非公開のため確認できませんが)。
①だけだと著者のペンネームやURLを個別に記する必要はないと考えられますが、②ではそれが不可欠です。そして今回の問題の論点はその②に付随する出典元表記で作者名やURL、そして引用による本文一部抜粋にあります。だから引用が議論の的になっているのです。
□過去の記事
*1:ただ、pixivR18小説の上位10作品のうち8作品がBLものだったということはこの手法ではわからないので、数少ない成果と言えるかもしれません。
山本一郎「オタクがオタクでなくなるとき」←オタク諸氏はこれを無視しろ。
自身も戦略対戦ゲームのオタクだったという山本一郎氏の記事を読んで思うことを以下書きます。
氏の主張はおおむね以下の通り。
- オタク趣味はいずれ結婚などによって継続しづらくなる
- オタク趣味は卒業したら何も残らない、むなしさだけが残る
- オタク趣味以外の人生にとって大事なものの方を優先しろ
で、これを踏まえた上での私の主張はタイトルの通りです。
オタク諸氏、特に若いみなさんは今好きなことをもっとやれ。「そんなことやっても意味ないよ、後で見れば空しいだけだよ」などという発言は無視しろ。
これだけだと具体性皆無なので以下補足します。
- オタク趣味はいずれ結婚などによって継続しづらくなる
→これは人による。
私の経験でいえば、確かに制限がかかった人はいる。高校の後輩(証券マンのアニオタ)は、奥様の意向によりエロコメ系の視聴は制限されているそうだが、ストーリー性の高いものについてはむしろ夫婦で楽しんだりしているそうだ。
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別の友人は経営者で田村ゆかりの追っかけをしていたが、結婚したことで完全に活動できなくなってしまったため離婚した。今は会社は人に任せて隠居生活をしつつ、田村ゆかりのおっかけをしている(最近ライブをしてくれないので困っているようだが)。
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またある友人は夫婦ともにドラゴンクエストX(オンラインゲーム)のプレイヤーだったが、結婚後も今もそのままである。むしろ嫁の母も一緒にプレイしている。破水してる最中も夫婦&母でプレイをやめなかったというのには流石にビビった。
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かくいう私もアニメ好きで、嫁はかつてはコミケにサークル参加するくらいだったものの今は卒業した、と思っていたが、今年夫婦共にけものフレンズにはまった。他のアニメの場合は渋ることもあったグッズ購入やイベント参加も、けもフレについては嫁の方が積極的である。
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というわけで、昭和の時代ならいざ知らず、現代においては結婚しても別にオタクをやめる必要ないし、むしろ辞める必要のない相手を探すことの方が重要である。
- オタク趣味は卒業したらむなしさだけが残る
→一見まっとうに感じるが、よく考えたらオタクに限らず、あらゆる趣味・活動に当てはまる。ピアノを弾こうが将棋を指そうが、全部やめれば無どころか費やした時間とお金の分だけ無駄である。
「いやいや高尚な活動は人間性を磨いたり考えを深めたりできるじゃないか」と思うかもしれないが、それはオタク趣味だって同様だ。
私の友人は幼少の頃から漫画を描くのが好きだったが、今はプロの作家だ。もし彼が人生のどこかで「漫画なんて無駄だ」と思ったなら、プロとして多くの受け手に物語を届ける人にはなっていないであろう。
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もっと言えば、そもそも人生そのものだって死んだら何も残らないのだから、究極的にはあらゆるものは無駄である。「いずれ冷めるからやめとけ」というのは、「いずれ死ぬんだから今死ね、そもそも生まれてくるな」というのと一緒だ。
氏の言う通り、冷めた時の寂しさはもちろんきついものがある。が、それは熱い情熱や楽しさを否定するものではない。
- オタク趣味以外の人生にとって大事なものの方を優先しろ
これも一見もっともらしいが、氏の文章では"人生で置き忘れてはならない大事なもの"と示されたものが何なのかが一切書かれていない。
強いて憶測するなら、何度もオタク趣味との対比として出てくる「結婚」あたりだが、これは上記の通り両立できないものではない。
2、30年くらい前は、オタク趣味というのは非常にニッチでオタクは日陰者だった。パートナーを探すのも難しかったのだろう。でも今はオタクであることの社会的抑圧はずいぶん弱くなった。パートナー探しだって昔に比べればずいぶん容易になっただろう。天秤にかける必要はない。
というわけで、氏の主張は、結婚観とオタク観が2、30年間アップデートされてねーんじゃねえの? で片付くことであり、真に受けるべきものではない。
最後に。
氏の言う通り、オタク的なものから卒業するのは、とても寂しいものではある。周りから同好の志がひっそり消えていくことも、自分の内なる情熱が覚めていくのも、正直ツライ。
だけど、それを終わった後に「無駄だったでしょ?」と言うのは傍観者の視点であり、面白おかしく熱中している最中の当事者には全然関係のないことである。
涼宮ハルヒの憂鬱というラノベを読んだことがあるだろうか?(アニメ版でもいい)
いいも悪いもなく、とにかく面白いことをする! という主義の涼宮ハルヒを冷めた目で見ていた主人公のキョンが、その「面白いこと」に主体的にコミットしていくようになり、自己のアイデンティティを肯定していく物語である。
涼宮ハルヒの憂鬱<「涼宮ハルヒ」シリーズ> (角川スニーカー文庫)
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ハルヒやキョンが最初っから最後まで「こんなの面白くもなんともねえや」という高校生活を送っていたら、それは果たして面白い物語になるだろうか?
もしくは、ハルヒのやった映画撮影や野球大会参加は無駄と言えば無駄かもしれないが、彼らや受け手にとって、本当に全く意味のないものだろうか?
キョンやハルヒが大人になった時「ほんとあれは意味なかったね!」というのは別にいい。ハルヒダンスに打ち込んだりエンドレスエイトを耐え抜いてあれやこれや考察した事を、ファンが後年「あれは今考えると恥ずかしい」というのもいいだろう。
でもそれを当時も今も傍目で見つつ何もしないで「無意味だ」「どうせ後で冷めるからやめとけ」などというのは相当カッコ悪いことであるし、そっちの方が何の意味もないと言えるだろう。
オタク諸氏、特に若いみなさんには、自分自身のやりたいことを好きにやって打ち込んでほしい。いつか熱が冷めて空しくなるかもしれないが、先のことを考えて遠慮するのはやめて、むしろ共有できる仲間を探すことに時間と手間を割いてほしい。
キョンやハルヒになれ。山本氏にはなるな。私が伝えたいのはそういうことです。
(おわり)
□過去の記事
アニメ情報番組に携わることになりました。→『植田益朗のアニメ!マスマスホガラカ』
なんやかやあって、文化放送さんのインターネット動画ラジオメディア、AG-ON Premium にて、4月25日よりスタートするアニメ情報番組『植田益朗のアニメ! マスマスホガラカ』という番組の立ち上げと運営に携わることになりました。
この植田益朗さんという方、アニメ会社のアニプレックスやA-1 Picturesの元社長さんで、今は親会社であるソニー・ミュージックエンタテインメントの常勤顧問をされている偉い人です。SMEのビルの一番上に個室があったりしてびっくりします。
その前はサンライズにおられたので、我々世代的には『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』『銀河漂流バイファム』『蒼き流星SPTレイズナー』のプロデューサーだとか、
蒼き流星SPTレイズナー Recollection1996-2000 Blu-ray BOX(初回限定生産)
- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2013/09/18
- メディア: Blu-ray
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『シティーハンター』のプロデューサーとしてエンディングの『GET WILD』に携わっただとか、
サンライズの役員として『天空のエスカフローネ』や『カウボーイビバップ』を手掛けただとか、
SUNRISE ART WORKS/天空のエスカフローネ TV&MOVIE (SUNIRISE ART WORKS)
- 作者: サンライズ
- 出版社/メーカー: 復刊ドットコム
- 発売日: 2012/02/28
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログを見る
こういうサンライズ時代の作品の方がピンとくるかもしれません。
呼ぶゲストもいきなり豪華で、第1回は坂本真綾さんに来ていただき、『エスカフローネ』の他『黒執事』『空の境界』などのお話をしていただきました。番組プレゼント用のサインも書いてもらったよ。
で、私はこの番組の立ち上げの他、構成台本とか宣伝とかSNS運用とかADとか、なんか一人何役かでいろいろやっています。
今後もしかしたら1年くらいこの番組のお手伝いをすることになるかもなので、いしじまえいわをご存知のみなさん、ぜひ番組を応援していただけたら幸いです。
とりあえず上記リンクから番組視聴用のアカウントを作ってもらったり、番組へのお便りフォームから、今後呼んでほしい人や扱ってほしい作品の要望など送ったりしていただけたら幸いです。
25日18時には番組スタートし、それ以降いつでも放送を聞けるようになるので、月末くらいからは番組もぜひ聞いていただけるようお願いします。
□過去の記事
岡山県在住のみんなー! 存続危機の池田動物園にいるフレンズを紹介するよ! #けものフレンズ
岡山県民なら知らぬ者はいない池田動物園が存続の危機、だそうです。
まあ、小さい動物園だし儲かってる様子もなかったので仕方ないですが、歴史の長い池田動物園がアニメ『けものフレンズ』が流行っている今この時に閉園とかになったら寂しすぎるので、元岡山県民として応援するようなことを書きたいと思います。
いわゆるけもフレ便乗地元ネタですのでご注意を!(←何に?) まあ吉崎観音先生もヤオヨロズのみなさんも、こういう便乗なら怒らないでしょうきっと!
まずはアニメ『けものフレンズ』に登場したフレンズの中で、池田動物園にもいるフレンズを、池田動物園のサイト(http://www.urban.ne.jp/home/ikedazoo/)を見ながら紹介していきます!(※情報は2016年1月現在)
まずは第10話「ろっじ」に登場のアミメキリン! 首の長さはけものフレンズではマフラーという形で表現されてたね!
第1話にちょろっと出ていたサバンナシマシマオオナメクジ…ではなく、サバンナシマウマの一種、グラントシマウマもいるよ!グラントシマウマはサバンナシマウマの中では小さい部類だそうです。 かばんちゃんは見つけられなかったけど、君は見つけ出そう!
第9話「ゆきやまちほー」の温泉でヨヨヨって言ってたカピバラさん! この写真なんか凛々しいね!
第11話、12話で大活躍のヒグマ! 正式名はエゾヒグマだよ! 実物のヒグマも相当な強キャラだ!
第6話「へいげん」に登場のライオン! 第12話でもかっこよかったね! 王者の風格!
以上だ! 小さい動物園だけあってさすがに少ないね!
せっかくなので『けものフレンズ』に登場したフレンズに近い動物たちも紹介するよ!
PPPの一員のフンボルトペンギンに似たマゼランペンギンなら池田動物園にもいるよ。こっちも負けず劣らずかわいいよ。
シロフクロウはハリーポッターに出てきたから有名だね! けもフレでいうと助手(茶色い方)のワシミミズクとは実は同じワシミミズク属なんだよ! 親戚みたいなもんだね! 色はなぜか博士の方に近いけどね!
なお、ハリーポッターのヘドウィグは真っ白なのに何でこの子は柄付きなの? という人もいるかもしれないね。オスは真っ白、メスは柄付きなんだよ!
ホワイトライオンはライオンの白変種だよ。白変種というのは遺伝子異常のアルビノとはまた別のもので、アルビノが目が赤いのに対し白変種では普通に黒いんだ。
この子はオスだけどたてがみがないね。まだ若いのかな?
こんなところかな!
他にも、アニメには出なかったけど『けものフレンズ』公式サイトのけもフレ図鑑(http://kemono-friends.jp/zoo/)には載っているレッサーパンダなんかもいるから、その辺りもぜひチェックしてほしい!
レッサーパンダかわいいよ!
というわけで、池田動物園にいるフレンズの紹介でした。この記事を見て動物に関心を持った方は、ぜひ池田動物園に遊びに行ってフレンズを生で見て写真とか撮って楽しんでほしい!
池田動物園を救えるのは岡山在住のキミの入園料だけだぜ*1! 岡山県民の群れとしての強さを見せるのです!
□過去の記事
*1:近隣の県の方もぜひお越しください!
キンコン西野さんが5歳児焼死イベント「TOKYO DESIGN WEEK 2016」の理事だった。
5歳児が父親の目の前で焼死した痛ましい事件について、何故かその後の報道がされていない、ということを指摘したエントリーを読みました。上の記事です。優れた内容かつ読みやすい文章ですので、ぜひお目通しください。
で、このことについて「追跡調査は重要だよね」的なことを Newspicks にpickしました。
そこでとある方が「TDWの理事一覧ページが削除された、と苫米地英人さんという方が指摘してたよ」「その中には今話題のお金の奴隷解放宣言の兄ちゃんもおるやんけ」というコメントをされていたので、ちょっと調べてみました。
以下、ちょっとコアめのサイト2つです。
【5歳児焼死のイベント】苫米地英人氏「イベント主催者理事は名前のページ消して逃げてはだめ」
上記2サイトによると、残念ながら苫米地英人さんは何かの事情で件の指摘のツイートを消してしまっているようですが(TDWのサイトからはもちろん消されている)、画像もテキストも残っていました。
以下、両サイトよりの引用です。
理事会メンバー
会長
浅葉 克己 株式会社浅葉克己デザイン室/アートディレクター理事長(代表)
川崎 健二 デザインアソシエーションNPO副理事長
森 浩生 森ビル株式会社/取締役副社長 佐藤 茂 株式会社エイブル&パートナーズ/代表取締役会長 理事
池坊 美佳 華道家元 池坊青年部代表/華道家 生駒 芳子 ファッション・ジャーナリスト/アート・プロデューサー 伊東 豊雄 伊東豊雄建築設計事務所/建築家 今村 有策 トーキョーワンダーサイト館長 海豪 うるる 料理研究家/エッセイスト 川上 麻衣子 女優/ガラス工芸作家 川上 元美 川上デザインルーム/デザイナー 隈 研吾 隈研吾建築都市設計事務所/東京大学教授/建築家 小林 武史 音楽プロデューサー/キーボーディスト 小山 薫堂 放送作家/脚本家/オレンジ・アンド・パートナーズ代表 佐藤 可士和 株式会社サムライ/アートディレクター 篠原 ともえ 歌手/タレント/女優/デザイナー 田淵 諭 多摩美術大学教授/建築家 鶴田 浩 リアルスタイル/代表取締役社長 中田 英寿 スポーツ選手 西野 亮廣 アーティスト/芸人 根津 公一 根津美術館 館長 VERBAL MC/音楽プロデューサー/デザイナー 長谷川 喜美 空間デザイナー/ベルベッタ・デザイン代表 菱川 勢一 映像作家/アートディレクター 日比野 克彦 東京芸術大学美術学部先端芸術表現科教授/アーティスト 宮本 洋一 清水建設株式会社 会長 茂木 健一郎 脳科学者 越智 茂樹 デザインアソシエーションNPO 監事
阿部 陽一 税理士 TDW後援
経済産業省 2005-2012
引用元:
西野 亮廣 アーティスト/芸人
うん、理事としてばっちりいますね。今、絵本で話題の方が。
ここからが本題です。
個人的には、絵本の件は個人のビジネスの話なので関心事ではありません。
元々クリエイターの扱いに関するトピックだったと記憶していますが、絵本がMUGENUPに注文して制作された本ということなので、タダで公開しようがどうしようが、彼の自由です。
弊社、株式会社MUGENUPが全面協力した、西野亮廣さん絵・文・監督による絵本『えんとつ町のプペル』ですが、 チームワークによって作られた制作過程に注目していただき、フジテレビの「ノンストップ!」様(平日 9:55 – 11:30放送)において、11月14日(月)、ご紹介いただきました。
上記記事や会社概要を読めばわかりますが、MUGENUPはクラウドソーシングでコンテンツを制作・納品する会社であり、各クリエイターへの報酬はプロジェクト単位で支払われるはずなので、本の印税は元々クリエイターには入らない契約と思われます。
であれば、西野さんが自分が金を払って作らせた本をタダで公開しようがどう扱おうが、クリエイターには(少なくとも金銭的には)もう関係のないことなのです。
というわけで絵本の件はどうでもいいのですが、関心があるのはTDWの件です。
理事一覧ページが消されているので当たり前と言えば当たり前ですが、「キンコン_西野_焼死_子供_TDW」とかで調べても、彼が本件について何かコメントされたとか、そういう情報は出てきませんでした。私の調べ方が悪いのかもしれませんが、たぶん何もコメントされていないのでしょう。
西野さんに限らず、自分が理事を務めたイベントが子供を一人焼き殺しておいてだんまりってのは、ないんじゃないですか??
(速攻でお詫び声明を出した茂木 健一郎さんは別。ぜひ責任追及とイベントの改善に尽力していただきたい)
私が言いたいのは、以下の3点です。
①事件被害者の魂と遺族の心が一刻も早く救われることを切に望みます
②事故を起こしたTDW運営とは日本工業大学は事件の原因究明と責任追及を果たし、被害者への補償とイベント運営体制の改善プランが出るまでTDWは中止
③子供一人焼き殺したことに何の負い目も感じていないような大人がわんさかいるTDW界隈の業界ってこええな(立派な大人もこの世にはたくさんいるよ)
あと強いて言えば、子供を焼き殺しておいてその責任を果たさず、当の子供向けに絵本を売るビジネスをいけしゃあしゃあとするような人間にはなりたくないなと思いました。(了)
ココス×ガールズ&パンツァー 劇場版 キャンペーン「ココス道始めます!」初日参加レポート@秋葉原
COCO'Sでガルパンコラボを開始と聞いて、コラボ開始日にたまたまココスのある秋葉原に寄る用事があったので行ってきました。
コラボ内容は、期間中に上記サイト内に記載のメニューを注文するとオリジナルデザインのクリアファイルがもらえるというもの。
週替わりになっていて、先発の3週間はこんな感じ。
なんかキャラの組み合わせに「?」なところもなくはないけど、全員ココスの制服を着た新規イラストなのは何とも豪華です。後発の3週分のデザインは今後公開とのこと。
以下のような感じで各キャラからのおすすめメニューも紹介されています。
なお華さんのおすすめメニュー「ライス大」は一部ネットでも話題になりましたが、昨年のラブライブコラボでもお米担当はいたので、その系譜でしょう。
以下、写真レポートです。
戦車道を極めにきた。三組待ち。 pic.twitter.com/ky4H4lA8Hg
— いしじまえいわ (@ishijimaeiwa) 2017年1月19日
やってきましたココス秋葉原店。秋葉原店という名前ですがJR秋葉原駅と御茶ノ水駅の間くらいにあるので、どっちから行ってもOKです。
お店の1階部分、外から見えるところに西住殿と秋山殿の等身大パネルがありました。
このパネル、店舗によって種類が違うのですが、2人いるのはなんと秋葉原店のみ。大洗店ですら1人(西住殿)なのに。超豪華。
店舗毎にどのキャラがいるのかは上記サイトに記載されていますが、以下の通り。
※予告なく設置終了する場合がございます。
秋葉原店は入店してすぐに階段を上がる構造になっているのですが、階段壁面にこんなものが。どうやらのぼりを壁に貼っているようです。外に立てればいいのに!(何か事情があるのでしょう)
私が訪れたのは平日のお昼2時過ぎころでしたが、数名の方が並んでいました。といってもたった3組待ちなのですぐに案内されました。これから行く人はご参考まで。
キャンペーン紹介。いろいろ書いてありますが、下の方にレシートで抽選の特典も書いてありました(上記サイトの詳細あり)。レシート残してたかな…
で、肝心のメニュー。
実は今回のキャンペーン、対象商品はこのコンボセットです。キャラたちからのおすすめメニューではありません!
サイトをよく読めばわかるのですが、私はここを勘違いしていて「ちょっとスイーツでも」というつもりで来てしまいました。この日の昼にたまたまハンバーグ&ステーキセットを食べてきたばかりで、かなりお腹一杯になりながら食べる羽目に。。
おかげで目当てだったベルギーチョコブラウニーも華さんおすすめの大ライスも食べられませんでした。次の機会に回そう。。
これがキャンペーンでもらえるクリアファイル第一弾。対象コンボセットを注文した時点で持ってきてくれました。西住殿と秋山殿のカップルは公式なんだなあ(←?)。
先にサラダは食べてしまいましたが、やってきましたビーフハンバーグコンボセット1300円(税抜)。ココスのハンバーグは粗びきでおいしく、ぺろっと入ってしまいました。焼き石で焼きながら食べるココスのハンバーグ、唯一無二。なお、焼き石は冷めても店員さんに言えば熱いものに取り換えてくれます。
これにドリンクバーもつくので、ボリュームもなかなかです。
はい、ごちそうさまでした。
私は一人でお店に行きましたが、普通のファミレスチェーンなのでもちろん一人でも気兼ねなく入れます。ご検討の方は一人でも気にせずどうぞ。
なお、私の隣の若い男性は、艦これ×三越のトートバッグを持ってたので多分ガルパンコラボ目当てだったと思います。
逆サイドの女の子二人組はガルパンの話はしていませんでしたが、会話から『聖闘士星矢』『ポセイドン』『甲冑』などの単語が聞こえてきたのでたぶんオタクです。
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また、若い男性と入れ替わりで入ってきた高校生オタカップルみたいな雰囲気の二人組もガルパンメニュー目当てだったのでオタクです。
秋葉原というロケーションの影響はあると思いますが、そこそこガルパンコラボ効果で来店する人がいるように感じました。クリアファイルは先着順なので、気になる方は早めに行くといいと思います。
店舗でのキャンペーンは以上のような感じですが、2月6日には下記サイトにてオリジナルグッズの通販も始まるそうです。
ココス限定ガルパングッズ「卓上ミニのぼり&A4シール」「のぼり」「B2タペストリー」の受注予約販売をこのページで行います。
商品の公開まで、このページをお気に入り登録してお待ちください。
今回のデザインを使ったグッズと思われますが、これも楽しみです。
ココス道の参加レポート、以上です。
このキャンペーン、クリアファイルプレゼントだけでも週替わりで6週間も続くので、制覇しようとするとずいぶんなココスマニアになってしまいそうです。
最終章制作の発表があったガルパンですが、このキャンペーンの他にも同じく秋葉原にてコラボカフェが開催されるなど、いろいろ展開があって飽きさせませんね。
こちらは22日(日)までと終了が近いですが、好評のようでグッズやメニューにも品切れが目立っていました。こちらもなかなかよかったのでご関心の方はぜひどうぞ。
□過去の記事
「引用」について。
DeNAのWELQ問題に端を発するここのところのキュレーションメディアどうよ問題について、一つ気になっていることがあります。それは、ライターもメディア側も批判側も「引用」についてどれだけ正しく理解しているのか? ということです。
引用についてイチから説明するのは大変…と思っていたら、上記の記事が非常に正確に説明してくれていました。
詳細については上記サイトをご覧いただくとして、箇条書きで要約すると、
・文章や写真の転載・使用・二次利用などの「他所から持ってきて使う」という意味の言葉と「引用」は、意味が全然違う
・引用は著作権法に定められている権利で、特定のやり方と目的であれば、誰でも人の文章や写真を無償・無断で使用できる
・どこからどこまでが引用の範囲なのかについてはあいまいな部分がありケースバイケース。法の精神に鑑みて、個別に判断すべき
・各種SNSには著作権法とは別にそれぞれガイドラインがあり、たとえばTwitterであればRT、またはAPIを使った埋め込みであれば「引用」同様、無償・無断で使用できる(それ以外の方法、例えばキャプチャして貼るなどはガイドライン違反)
おおよそこんな感じです。
なので、引用について理解している人にとっては、今回の件は「元々ちゃんとした記事を書いていればよかったのでは…?」というだけの話なのです。
ただ、メディア側は正しく引用できる程度の人を集めて記事を書かせるコストを支払いたくないため、クラウドソーシングを介して1文字1円以下の人たちに著作権違反をさせていたらしく、それがまずいのです。
ライターには資格がないので難しいところですが、例えるなら「調理師免許持ってない人に、それが危険と分かっていながら安い賃金で食べ物を作らせていた」という感じです。
普通に考えれば、採用基準に「著作権法に基づいた引用ができる人」と入れるか、採用後にレクチャーをすればいいだけの話なのですが、いろんな記事を読む限り、人が集まりにくくなるだけでなく、検証する手間も必要になるので、そのコストすら惜しかったのでしょう。
採用側、編集者側に著作権法の正しい理解がなかったというセンもありますが、さすがに考えにくいと思います。大卒程度のスタッフが数名いれば、引用についての知識が皆無ということはないはずです。
(ただ、下記の記事など読むと、ライターも指示を出していた編集者も分かってなかったのかも? とも思います。分かっててやっていたのかもしれませんが)
なぜ「大卒程度なら」と言えるかというと、ライターとか編集者とか専門家とか関係なく、大学生が卒論を書くには引用についての知識が不可欠だからです。
論文は先行研究を引用してナンボなので、引用しかたを知らないとまともな卒論は書けません。なので、学士(=大卒)なら、引用し方は大体知っているはずなのです*1。
もちろん一部学部には卒論が必要ない場合もありますが、大卒が5人もいれば卒論を書いたことがある人は一人くらいはいるでしょう。
というわけで、もし今回の件で多くのライターや編集者に引用についての知識が乏しかったのだとしたら、これは大学教育のレベル低下問題の一つのあらわれだな、と思う次第です。
分かっててやっていたのだとしても、それが法律違反、グレーではなくブラックだという学がなかったのでしょう。
やっぱり教育は国の要ですね(←結論)。
最後に、引用に関する実体験を一つ紹介して終わりにしたいと思います。
以前、家族が本を出すことになり、その中で某Y新聞の記事の一部を使いたい、と相談されたので「引用し方はこれこれこうなので、この通りやれば誰かに許諾を得る必要はないですよ」とレクチャーをしました。
ところが家族は律儀にY新聞社に問い合わせをし、その返事として「使うなら使用料を払ってください、いついつまでに連絡をください」と結構な額の価格表が送られてきた、とのことでした。
私はフザケンナと思ったのですが、一応法学者である父にこの件を話したところ「もし利用してもいいですか? と聞いたのなら、会社の資産の利用にお金を請求するのは当然。引用してもいいですか? なら、請求はできない」とのことでした。そりゃそうだ。
で、家族に確認したところ、どうやら利用と伝えていたようなんです。
なので次は私が窓口になり「検討の結果、今回は引用することにしました。ご対応ありがとうございました」と伝えたところ「著作権法上の引用であれば自由に使っていただいて問題ありません」との回答で、一件落着しました。
Y新聞社も知ってて大枚はたかせようとしていたのですから、結構なもんです。
法律は弱い者の味方ではなく、知ってる者の味方だと言いますが、ほんとそれだな、と思った一件でした。
(おわり)
よくわかる卒論の書き方 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)
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自分が学生の時はこんな本を読んだ気がします。
*1:ただ、よく思い出してみると、私も大学の授業やゼミで引用の仕方について手取り足取り習った記憶はありません。自分で本でも読んだんでしょう