「OTAKUエリート 2020年にはアキバカルチャーが世界のビジネス常識になる」著者の羽生雄毅氏とオタクエリートという概念。
気になる記事がクーリエ・ジャポンに載っていました。『「OTAKU」がイスラム国を倒し、ビジネスでも世界を制する!』とのこと。
イスラム国、倒したかなあ…という気はしますがそれはさておき、上記記事は、羽生雄毅さんという方の書いた「OTAKUエリート 2020年にはアキバカルチャーが世界のビジネス常識になる」という本の紹介記事でした。
OTAKUエリート 2020年にはアキバカルチャーが世界のビジネス常識になる (講談社+α新書)
- 作者: 羽生雄毅
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/01/21
- メディア: 新書
- この商品を含むブログを見る
羽生雄毅さんはオックスフォード大学で化学分野で博士を取り、会社も設立されている方だそうなので、確かにエリートと言っていいですね。
羽生さんの会社はこちら。アニメサイエンスという名前ですが、CGによるビジュアライズを主とした会社のようです。
また、「shojinmeat」という細胞培養によって生成する食肉を作ろう、みたいなプロジェクトも推進されているそうです。幅が広いですね。
それにしても、オタクエリート、ですか…
なんか懐かしい響きのあるフレーズですね。
オタキングを自称する(した)岡田斗司夫は、80年代、90年代にはオタクのことを知的貴族階級と考え、その後2006年に「オタク・イズ・デッド」としてその終焉を告げました。
その辺りの概念や変遷に関してはいろんな人が書いていますが、下記のサイトはうまくまとまっています。
http://kor89.blogspot.jp/2012/10/blog-post.html
また、2005年頃にはこんな雑誌が出ていました。
当時麻生太郎氏が漫画好きということで話題になっていましたが、この雑誌は鳩山氏がその向こうを張ったものだったんでしょうね*1。
本書は、【オタク】を娯楽・文化として、産業として、捉えていこうとするものです。書名には、 その未来を担う、創造性と生産性を兼ね備えた人物【オタクエリート】が、一人でも多く現れて欲しいという願いが込められています。
上記の雑誌は2005年のものですが、かつては「こうあってほしい」という希望のようなものだったネーミングが、10年を経てついにそれを自称する・できる時代になったってことでしょうか。
なお、岡田氏は2006年のロフトプラスワンでの講演「オタク・イズ・デッド」にて、オタク貴族階級(第一世代)とエリート階級(第二世代)を、前者は半先天的なもの、後者は後天的に習得したものとして違う概念として扱い、その両方が2006年の時点で概念的に死んだとしています。
2006年に死んだとされたオタクエリートという言葉(もしくはそういった概念・文化)が、偶然か意図的かはわかりませんが10年後の2016年にまたこうやって使われるのは、不思議な感覚ですね。羽生氏は岡田氏のこの講演、聞いてないのかな?(もしくは聞いたのかな?)
この本そのものにも関心はありますが、上記のオタクイズデッドの動画を再見して(2時間半もあります)、2016年現在のオタクという概念って何なんだろう? と改めて思わされました。
当時の私がこの件について考えていたこと。改めて考えないと。
*1:こんなアピールしときながら、自民党の立案した国立メディア芸術総合センター通称「アニメの殿堂」を廃止した民主党と当時のメディアは許さんぞ。