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アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

涼宮ハルヒシリーズ、Kindle版で読み直しました。面白かったです。

Kindle Fire HD 16GB タブレット(2012年モデル)

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 Kindle Fire HD を買ったのでせっかくだから何か電子書籍を購入しようと思いたち、ちょうど表紙にも登場しているハルヒシリーズにしようと「涼宮ハルヒの憂鬱Kindle版をダウンロードしたのが2ヶ月ほど前のこと。ラインナップされているシリーズ作品を次々ダウンロードしては通勤時間や寝る前などに読みつづけ、昨晩最新刊の「涼宮ハルヒの驚愕」を読み終えました。


 いやあ、面白かったです。ここ2ヶ月ほどほぼずっとKindleを片手に持ち歩いているのですが、やっぱりいいソフトが有ってこそいいハードと成りうるですね。ハルヒKindle版がなかったら、たぶん今頃kindleはホコリをかぶっていたと思います。


 ハルヒシリーズの1巻1巻についてきちんとブログに書いておきたいと思うのですが、せっかくなので今日一気に一言ずつメモしておこうと思います。


 それでは以下、涼宮ハルヒ、レディーゴー。


 2003年刊行の第1作。いきなりですが、1冊だけ読むならこの巻が一番面白いです(まあ、悪い話じゃないですよね?)。最初の話だけあって、シリーズ全体に敷衍できるテーマがきちんと収まっていて読み応えがあります。
 簡単に言うと、厨二病を中学校で卒業し達観したつもりの男子高校生の少年・通称キョンが、厨二病真っ盛りの夢見がち少女・涼宮ハルヒと出会うことにより「世界はつまらないものなんだから諦めよう」ではなく「この世界は面白いんだ!」と世の中の捉え方が変わる、というお話。
 詳しく説明するのは別の機会に譲りたいけど、ライトノベルやアニメなどエンターテインメント作品にありがちな「視聴者に夢を見させてハイ完了」ではなく、主人公とヒロインと読者を「魅力的なこの世界」に引き戻す構成になっているのがこの作品を傑作たらしめているポイントだと思います。正しくSF小説的ですね(あ、この作品はSF小説です。念のため)。
 文章も非常に読みやすくウイットに富んでいて面白いので、未読の方はまずはこの「憂鬱」をぜひ読んでください。


 「憂鬱」の続編で同じく文庫本1冊で1話の長編です。キョンハルヒの関係が深まる話であり、まだ他の3人とは打ち解けていない感じのある頃の物語です。
 時系列で言うと「憂鬱」から4ヶ月ほど経った頃の話なのですが、別の巻ではその間にあったいろんな出来事やそこでの登場人物同士の関係の進展が描かれているので、読む順番を間違えたりアニメから入ったりすると「え、なんでこいつらの関係性がこんなに逆行してるの?」とも感じられてしまいます。そういった意味でも、あと話の濃度としても、ちょっと難ありの巻かもしれません。


 「憂鬱」と「溜息」の間になる、夏頃の挿話4篇からなる短篇集です。どの話もアニメ化されているのでアニメから入った人には読みやすいし、原作との差異を楽しむのも一興だと思います。特に「孤島症候群」は構成からオチからアニメと結構違うので面白いと思います。
 「憂鬱」がスニーカー大賞を受賞してから文庫本として刊行される前にスニーカー誌に掲載され、初めて一般の人の目に触れたのが「退屈」(野球をする話)だったというのが、登場人物であるハルヒに負けず劣らずなんとも大胆ですね。


 「溜息」を経た、高校1年生のクリスマス直前の時期を舞台にした長編で、ファンの中でも非常に評価の高い巻です。アニメ版で映画にもなっているので、そちらで見たという人も多いのではないでしょうか。
 シリーズ全体の中の流れで言えば、斜に構えていた主人公・キョンが、自分のスタンスについて自覚的・肯定的になるステップを描いたもの。これもメタ的に読者に投じられたメッセージであると思えるのですが、ここまでのシリーズで築いてきたキャラクターの魅力とストーリーの面白さが存分に発揮されすぎていて、肝心のテーマが霞んでしまっているように感じられるのが個人的には評価が難しい作品です。いや、面白いからいいといえばいいのですが…
 「とにかくキャラ萌え!」「長門俺の嫁!」という人には間違いなく、そうでない人にも安心してオススメできる一遍です。


 夏・秋・冬から一遍ずつの短篇集です。「エンドレスエイト」はアニメではアレでしたが、原作ではどちらかというと王道のSF短編という感じです。あと、原作ではループしない、というのはアニメから入った人には意外なんじゃないでしょうか?
 「射手座の日」はどちらかというとキャラクターが主軸の話で、「雪山症候群」はこの後最新刊の「驚愕」にまでつながる一恋の話のきっかけであり、「消失」でキョンが自分の立場を自覚するまでを第1部とするなれば、第2部のプロローグと捉えられる1話です。
 特にエンドレスエイトなんかはSF短編として面白いので、初見の人でも楽しめるんじゃないでしょうか。
 私が最初に読んだのもこの「暴走」であり記憶に残ったのがエンドレスエイトだったので、個人的には思い入れの強い1冊です。


 秋から冬にかけて、「溜息」に絡む話が2編と、「消失」の後日談になる3篇から成る短篇集です。どちらかというとキャラクター主体の話になるので、他の巻を読んだ後に読むのがベターです。
 とはいえアニメ化されているのが2話、そうでないのが3話なので、アニメで描かれていない話を読んでみたい! という原作デビューの方にはオススメしやすい巻です。表紙もちょうどハルヒだし。


 高1の冬〜春頃を舞台とした長編。ストーリーの転機であり人気キャラである長門がメインの「消失」に対し、本編で話の軸となって活躍することの少ない朝比奈みくるがメインの巻です。
 一応1冊で一応完結している話ではあるもののその後の「分裂」「驚愕」につながる話なので読み終わった感があまりしないので、「消失」に比べると人気がイマイチなのは仕方ないかもしれません。テーマ的にも、取り立ててメッセージ性の強い巻ではないようだし…
 ただ、冒頭シーンが「消失」からダイレクトに繋がる構成になっているので、アニメ版の「消失」が面白かった人が、原作でしか描かれていない辺りの話に入るきっかけにはいい巻かも知れません。


 高1の終わり頃を舞台にした中編2篇が収録された巻です。さくっとした短編ではあるのですが、やはりキャラクターの設定に根ざした話になっているので、ある程度読んできた人向けです。
 「陰謀」「分裂」「驚愕」とは直接のつながりが薄い話で、印象としては「退屈」「暴走」あたりの短編に似ています。アニメ版の「憂鬱」「溜息」「消失」ではなく、1話完結の話のほうが面白かった人には読みやすいでしょう。


 「分裂」と「驚愕」は続きの話なので一度に紹介してしまいます。
 高校2年生に上がった主人公たちと「暴走」に収録の「雪山症候群」から小出しになっていた新キャラクターたちが一堂に会するシリーズです。「分裂」の後「驚愕」が刊行されるまでに5年経っており、実感としても3冊という冊数としてもボリュームがあります。
 これまでのシリーズの人物相関図は「絶大なパワーを持つ涼宮ハルヒキョンと他3人」となっており一見ハルヒ中心かのような形になっていたのに対し(実際には「憂鬱」の時から物語の中央にいるのは常にキョンなんだけど)、今回佐々木と他3人が登場することによって、主人公であるところのキョンが物語世界の中心であることをより明確に表した話になっています。そのためテーマ的にもキョン=読者に対するメッセージ色の強い話のようです(まだ読み込めていないので把握しかねているのですが…)。
 「消失」がそうであったように、ここで一旦一区切り、第2部完! という感じの話ではあるのですが、エピローグで思いっきり伏線の確認をしたり新しい伏線をはったりしているので、話としては続きそうな感じになっています。



 …という感じで一気読みしてしまいました。正確には文庫本未掲載の「涼宮ハルヒ劇場」や初回特典の「Rainy Day」などの短編もあるのですが、おおよそ上の8冊を読めば今のところ涼宮ハルヒシリーズを完封したといっていいでしょう。それらがほぼ全てKindle上にアップされ、家に居ながらにして買ってすぐに読むことができるなんて、なんていい時代になったんでしょう。
 ざっと印象だけさらう感じのコメントになってしまいましたが、1冊1冊に魅力的なポイントや作者のメッセージが散見されるので、できれば個別に感想文を書いて行きたいと思います。ボリュームがあるからかなりゆっくりになると思うけど…


 今回のブログを読んで、少しでも涼宮ハルヒシリーズに関心を持たれた方は、ぜひ手にとって読んでみてください。



 上にも書きましたが、「驚愕」のエピローグがいかにもまだまだ続きますの体になっているので、それを真に受けて、いしじまえいわは引き続き涼宮ハルヒシリーズを応援して行きたいと思っています。
 原作者の谷川さん、がんばって続きの話を考えてください! 応援しています!