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アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

YOMIURI ONLINE「ドラクエで賭博?ネットで現金化…11歳胴元も」の記事がいろいろ酷い。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120921-OYT1T00716.htm

 掲題の通り、YOMIURI ONLINEの記事がいろいろ酷かったので、何がどう酷いのかを書きたいと思います。

発売から1か月で50万本を売り上げた人気オンラインゲーム「ドラゴンクエストX(ドラクエ10)」で、サイコロ機能を使った賭けが流行している。

「親」役のユーザーが周囲に賭けを持ちかけ、ゲーム内の仮想通貨をやり取りする。


 まず記事前半。ここまでは事実なのでOK。ダイス機能は1から100の数字をランダムに表示するだけのシンプルな機能で、こういったゲーム内の機能や得点をどう使って遊ぶかはプレイヤーのゲームの楽しみ方のスタイルの範疇なので、何ら問題ないでしょう。これがNGなら、ぷよぷよの勝敗やスーパーマリオのスコア、果ては麻雀ゲームの親決めのサイコロでだって賭けは成立するし、その他なんだって賭けの対象には成り得るでしょう。


仮想通貨はインターネットのリアル・マネー・トレード(RMT)で売買でき、専門家は「刑法の賭博罪にあたる可能性もある」と警鐘を鳴らしている。

 「ダイスしよう!」「1回1000G(ゴールド)で勝ったら6倍!」

 インターネットを通じて複数のユーザーが交流しながらゲームを楽しめるドラクエ10。ゲーム内に設けられた「広場」では、様々なユーザーがチャット機能で他のユーザーに賭けへの参加を呼びかけている。


 上記の通りゲームの機能をどう使おうが基本的にはユーザーの勝手だけど、いわゆるRMTはオンラインゲームにはつきものだし、よくなかろうということでスクエニも問題視していて、下記のように警鐘を鳴らしています。


 (参考)RMTリアルマネートレード:ゲーム内通貨の売買)行為への取り組みに関するご報告
http://hiroba.dqx.jp/sc/topics/detail/57506bac7d2893711f30c3d7db4b138f4cf8e7dc/


 "専門家"が匿名な時点で意味のない文章ではあるんだけど、ここで指摘されている賭博罪についても疑問が大あり。
 賭博に関しては刑法にて以下のように定められています。


 (参考)刑法(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html

   第二十三章 賭博及び富くじに関する罪

(賭博)
第百八十五条  賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条  常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2  賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。


 関係ありそうなのはこの辺りだけど、まずスクエニそのものは賭博をしていないから第185条、第186条は関係なし。関係がありそうなのは第186条第2項だけど、スクエニは上記の通り賭博を禁止しているので、利益を図っているとは言えないのでこれも関係なし。
 どちらかというと刑法の賭博罪にあたらない可能性の方が大だと思われるわけだけど、読売オンラインとこの専門家はその可能性がどうあるのかを示すべきだと思う。

今月16日、「胴元」を名乗るユーザーにゲーム内で記者が話しかけると、「11歳」と返答してきた。「ダイスで50万G稼いだ」と明かす。


 そして一番酷かったのはここ。もうどこから突っ込んだものかというところだけど、

  • インタビューされたプレイヤーからすれば「記者を名乗るユーザー」によるインタビューに過ぎないため、インタビューの意味がない。
  • 聞かれた自称11歳も、自称に過ぎない。「ダイスで50万G稼いだ」も同じく証明方法がない。「自称記者」のインタビューにまともに答えるはずがない。
  • プレイヤーに実際の年齢を聞くこと自体がマナー違反。


 アマチュアのネタ記事じゃないんだから、記者であればゲーム中で賭博をしているプレイヤーを突き止め、実際にプレイヤー宅を訪問して取材しないと何の意味もないでしょう。なんでこんなネタサイトレベルの記事を天下の読売新聞のサイトが取り上げているのか、甚だ疑問です。

RMTの取引状況を比較するサイトによると、ドラクエ10は過去30日間の取引回数が他のゲームに比べ圧倒的に多く、2番目のゲームの2・6倍となっていた。


 この部分も、ドラクエXは現在国内一のオンラインゲームなわけで、2位の2.6倍の"取引回数"が割合として多いのか少ないのか分からないという問題もあるけど、そもそも「RMTの取引状況を比較するサイト」がどこだか説明していないから信憑性ゼロ。ちゃんと引用元を明記すべき。

こうした中、ゲーム内の賭けで稼いだ仮想通貨が現金化されていた場合、刑法の賭博罪に当たるのではないかとの見方が出ている。


 その見方が新清士氏というゲームジャーナリスト(自称)とYOMIURI ONLINE以外のどこの誰から出ているのかを明記すべき。指摘するのもしんどくなってきた。

ドラクエの製作・運営会社「スクウェア・エニックス」は、「ゲーム内で仮想通貨をやり取りしているだけで、遊びの範ちゅう」との見方を示す。


 まあ当然のコメントです。


 そもそもこの記事自体記者不明なわけで、右から左までどこを読んでも出典元不明の謎記事です。なぜこんな素人のブログレベルの文章を載せてしまうのか、重ね重ね疑問です。



 というわけで、「新聞終わってんな」という印象を強める記事でした。新聞が素人レベルに下がって公共性を失ってしまったのであれば、独占禁止法の例外から外し、再販制度もやめにするべきじゃないですかね。


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