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アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

自作を語る「自分の首を絞める男」

 「自分の首を絞める男」は高校1年生の夏ごろ(だったと思う)、季刊誌「すみれの花とぶたの鼻」第73号に掲載させてもらったものです。
 1作目の「うどん屋の決闘」は当時主流だったファンタジーものの短編に倣ってギャグものにし、次のものはシリアスっぽいものにしようという当初の構想の下プロットが作られました。王道なものを書こうと思っていたので基本コンセプトは「お姫様を救出する主人公」としてそこから全体を考えていきました。ですから最後のシーンなんかはその基本コンセプトを割と忠実に書いている感じです。
 また、せっかくファンタジーの世界を舞台にしているんだから、とそれ系の小物やシーンをたくさん出しているのも(むしろ)工夫した点でした。要塞都市やお屋敷、魔法使いの男など、前回の話に比べてファンタジーっぽい要素が多くなっています。いわゆる攻撃魔法が出てくるのはたぶんこの話だけだと思います。
 王道狙いということでバトルシーンも書いてみました。まあそういうシーンは前回のにもありましたが、今回はもうちょっとそれっぽいやつを。
 このように、最初は外したから今度はちゃんとした普通のやつを、というのがコンセプトでした。「ちゃんと普通」になってたら嬉しいなあと思います。


 あとこの話を書く上で忘れられないのが、音楽家・マーラーの写真です。
 上記のような基本コンセプトを用意してプロット作りに勤しんでいた時、文学部の友人清水氏が「いしじまえいわ君、いいものを見せてあげるよ」と言って見せてくれたのが、白黒コピーされたマーラーの写真でした(なんという高校生だ)。その写真は確かB5コピー用紙の真ん中に小ぢんまりと印刷されており、いかめしい眼鏡中年の姿を写し出していました。単純にそれだけでも一種奇妙な雰囲気のある写真だったのですが、特に印象的だったのが、写真の下に5ポイントくらいの小さな字で「マーラー」と書かれていたことでした。
 この「マーラー」という小さなカタカナと小さな写真のバランスが妙に味を出していて、「ね、いいでしょこの写真」「いいね…なんかいいね!」「でしょ?」「今度書く時の参考にするよ!」みたいな変なノリになって書かれたのがこの話なのでした。


 だからガネシオアル・バハール卿の顔はマーラー似かも知れません。