自作を語る「うどん屋の決闘」
今後この「自作を語る」では、この週に紹介したお話の解説をしていきたいと思います。一応昔書いた話ですよ? 今書いたんじゃないですよ? ということを告知しておきたいので…あとこういう文章を書いていれば自分でも思い出すことがいろいろありそうだし、思い出したことを記録しておきたいな、とも思うのです。
あと今回のタイトルの「自作を語る」は、村上春樹全集からのパクリです(どうでもいい情報)。
では、「うどん屋の決闘」についてレッツゴー。
前にも書きましたが、この「うどん屋の決闘」は私が岡山操山高校文芸部に入部した際、シリーズの第1作として季刊誌「すみれの花とぶたの鼻」第72号に掲載させてもらったものです(ずいぶん息の長い冊子ですね。今も続いているのかしら?)。
もともと長期連載のつもりで設定していた話のキャラクターや世界観の一部分だけを用いて、短編のようなものを書けないか? ということで書かれたのがこの話です。当時流行っていたファンタジーもののライトノベル『スレイヤーズ』の番外編の短編が本編に比べてギャグテイストの強いものであったため、読者の馴染みを考えて本作もコミカルなものにしました。また、長編の連載を諦める代わりにキャラクターや世界観を持ち越して連作にするという構想だったので、後に登場させる予定のキャラクターを最後に出していわゆる「引き」にしてみたりもしています。
当時のファンタジーものでは世界観はキャラクターと並んで重要な要素であり、いかに面白い世界観を提示できるかが作品の面白さに大きな影響を与えていました*1。ここでいう世界観とは、例えばその世界での宗教観とか魔法の原理とか神話から連なる歴史とか、そういったものです。ところが私は「小説は人物を書くもので、世界設定はそのサブだろ」くらいに思っておりそういう傾向が過度になっていく風潮に反感を覚えていたので、「ファンタジア」の世界設定はわざとあやふやで、設定としての面白みのないものにしています。まあ今となっては作品を面白くする要素をわざわざ少なくすることないのに…とか思いますね。
また、冒頭に主人公の容姿の説明があるのはライトノベルの作法を意識してのものです。私は今でも「ラノベ=冒頭に見た目など登場人物の説明」みたいに考えているので(あってるのだろうか…?)、これは私なりにラノベ的なものを利用してみようという試みであったのだと思います。
正直言ってそんな面白い話でもないのですが、15歳のまだワープロの打ち方も分からない少年が*2手探りの状態で書いた物語だと思えば、微笑ましく思えるレベルではあるかなあ…と思っています。
…そう思いませんか?
次回はシリーズ第2作目「自分の首を絞める男」について書きます。