LM314V21

アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

新しいカテゴリ「創作」と『夢見る者達の楽園 ファンタジア!』掲載開始について。

 こんにちは、いしじまえいわです。みなさんお元気でしょうか? 私はまあいろいろあって大変です。まあ仕事とかなんとか…


 今回は新しいカテゴリとして「創作」というものがこのブログに追加されることをお知らせしたいと思います。
 LM314V21をお読みのみなさんの中には、私がかつて趣味として小説を書いていたということをご存知の方も多いと思います。ここ数年はほとんど書いておらずそろそろ趣味欄に書くときは「フィギュア収集」「アニメ鑑賞」の後ろに位置するようになっていました。ところがこ最近、創作意欲というものが私の中で少しだけだけどゆらゆらと動き出しているような気配を感じました。それはもしかしたら通勤時間に読んでいるともか嬢の小説に感化されたのかもしれないし、毎日が仕事と睡眠の連続になってしまっていることへの警鐘なのかもしれません。はたまた、単に気分転換が必要なのかもしれません。どういうことかは分からないけど、とにかく手を動かそう、ということで「創作」カテゴリを作ることにしたのでした。


 しかし私が小説…というか物語を書くことを日常にしていたのはもう何年も前のことですので、今さあ書くぞと思ってもかつてどうやってプロットを作っていたのか、テーマをどう選定していたのかも完全に忘れてしまっているため手が全く動かないのです。新作を書くためには頭を創作モードにする必要があるし、そのためにはリハビリが不可欠です。
 そういうわけで、とりあえずは過去に書いた話をここにアップロードしていくことをやっていこう、ということになりました。そうすれば私はイヤでも昔創作に打ち込んでいた頃の自分と向き合うことになるし、そこから学ぶことも多いと思うからです。そして初めにみなさんに紹介することにしたのが『夢見る者達の楽園 ファンタジア!』(以下『ファンタジア』)シリーズです。以後、1週間に1回のペースで『ファンタジア』シリーズ計10数本をおおむね執筆された順にアップロードしていこうと思います。


 ちなみに誤字脱字の訂正やブログへの最適化以外には一切手をつけていません。高校のとき書いたままの文章ですので、あくまで15、6歳の高校生が書いた文章と思って、差し引いて読んでください。今の自分はもうちょっとましなものが書ける…と思いたいです。退化している可能性も大いにあると思えるのが怖いところです。


 以下は『ファンタジア』シリーズの執筆背景に関する手記です。興味のある方のみどうぞ。


 私が小説を書くことを覚えたのは小学4年生の頃でした。担任の先生が作文教育に熱心な方で、生徒は教室の片隅に積み上げられた400字詰原稿用紙を好きなだけ使って物語を書いていいことになってしまいました。私は200枚超の話を書き、ファイルに閉じて本(のような形)にしたことと、完結させたこととの2つの点で先生に褒められ「たいへんよくできました」シールをいただきました*1。某有名RPGと同一のタイトルと世界観で、主人公「勇者いしじまえいわ(私の本名)」が太陽系の星々をわたり、同じく戦士や魔法使いとなったクラスメート達と一緒に大魔王を打ち滅ぼすという他愛のない…というか通常ならけっして人に話すことのない顔から火が出そうなお話なのですが、これが間違いなく私の創作活動の原点です。その後続編を小学校6年生のときに大学ノート3冊分くらい書いたはずですが、この時はもう先生主導ではなく完全に趣味として書いていたように記憶しています(だからこちらは完結しなかった)。
 中学校に上がってからは創作活動を小説からテーブルトークRPGというごっこ遊びのようなものにシフトさせていきました。なので小説という形では作品は残っていないのですが、この3年間で「小学校の時に書いたやつをリテイクしたい、するならこんな話にしよう」というような妄想は絶えずしていました。実際その世界観を用いたゲームなどもやっていました。それがその後『ファンタジア』シリーズになるものの雛形です。だから『ファンタジア』の世界設定や主人公の生い立ちなどは実際に書き始めるよりずっと前からあったし、そのおかげで書き始めるときはすごく自然に書き出すことができました。
 私が高校に上がった時、文学部(という名の文芸部)に入ることに決めました。中学校に上がる際に「中学校と高校、どちらかで運動部に入りどちらかで小説を書こう」と決め、中学校では陸上部に入ったからです。今度は小説の番、ということでした。そこで書くことにしたのが、ある意味小学校時代から暖めてきた『ファンタジア』でした。
 ただ、ここには少しばかり問題がありました。長い間暖めてきただけあってというか、素人にありがちな設定と妄想だけ膨らませすぎた結果というか、『ファンタジア』はそれはそれは壮大な物語だったのです。一方、文学部では1回の作品掲載に使っていいのは一人A4サイズ6枚までで、それは文字数に換算するとワープロでみっちり字を詰めても12480文字、400字詰原稿用紙30枚程度でした。惑星全土どころか宇宙全体を揺るがし何億年も時を経る設定の『ファンタジア』は、高校の文芸部の冊子に連載するにはあまりに構想が大きすぎたのです。しかし高校上がりたての自分としては小学校以来のライフワークである『ファンタジア』以外には他に書く気が起きなかったし(実際には他にも書いたけど)、どうにかして設定上のキャラクター達を作品を通じて読者の前に出てこさせてやりたいと思っていました。
 そこで私がとったのが連作短編集にする、という方法でした。主人公ゆうしゃいしじまえいわ改めアース・リディアスはきっとどこかで世界を股にかける大冒険をしているのですが、作品として書くのはその番外編というか、私の胸の内にある本筋とはほとんど関係ないちょっとした話の方にしよう、と決めたのでした。当時流行っていたファンタジーもののライトノベルに例えていうなら『スレイヤーズ』本編なしに『スレイヤーズ すぺしゃる』の方だけ書いてしまおう、ということでした*2。そうすれば私の書きたいという意欲は満たされるし、読者に世界観や本来あるはずの本筋を垣間見せることもできる、読者としては毎回読み切りをサクッと読むことができ連載小説に付き物の「つづく」にフラストレーションを覚えずに済む、というわけです。これは私には理想的な方法のように思えました。
 そういうわけで私が高校1年生の時、1996年に文学部発行の季刊誌「すみれの花とぶたの鼻」*3上に掲載されたのが『ファンタジア』シリーズ第1回目「うどん屋の決闘」でした。
 以後シリーズ約10本が「すみれの花とぶたの鼻」と「MUSE*4という部の季刊誌に掲載されました。
 1998年秋の文化祭ではそれらをまとめて書き下ろしを追加し、同級生や後輩達を動員していしじまえいわ個人誌「ULTRA BLUE*5として発行しました(みなさんご協力ありがとうございました)。50部ほど刷ったのですが、全部文化祭で売ってしまい*61万円に化けてしまった上に夕方にはさらにピザに三段変形してしまったので私の手元には1部も残っていません。お世話になった先輩方や後輩達に配れなかったのが心残りです。


 私が『ファンタジア』シリーズでやりたかったのは、当時流行っていた「ファンタジーもの」や台頭しつつあったライトノベルの批判でした(若者らしいコンセプトだと思いませんか?)。魔法や作品中の世界設定などを重視しすぎる傾向、人間としてではなくあくまでキャラクターとして描かれるディフォルメされすぎた登場人物などに違和感を覚えていた当時の私が、そういうものを揶揄しつつカウンターとして書いたのが『ファンタジア』シリーズでした。「夢見る者達の楽園 ファンタジア!」と浮ついたタイトルなのも単なる皮肉で、そこで描かれるのは2Dキャラクター的人物ではなく、血の通った人間であるという自信と宣言なのです。
 私は高校2年生の時に都合部長代理となったのですが、私が部長として出した編集方針は「ファンタジー禁止」(今で言えばラノベ禁止)でした。その部長代理が書いているシリーズのタイトルが『ファンタジア』なのは悪い冗談のようですが、それだけ自信があったのでしょう。


 で、そんな作品コンセプトがうまくいってるのか? というとイエスとはけっして言えません。そもそも文章も物語構成も下手くそだし、自分自身ファンタジーものを批判しながらファンタジーものに惹かれていたわけで、コンセプトを遂行できていない甘さも多く見受けられます。またこの頃『ブギーポップは笑わない』が登場するなどラノベ界も作品の幅を広げており『ファンタジア』のコンセプトや設定がラノベに飲み込まれてしまって批判として機能しなくなってしまったという実情もあります。
 ですから今もしこのシリーズを読んでいただけるなら、小難しいことは抜きで「10年以上前のある高校生が書いたラノベ」くらいに捉えてくれるとありがたいです。


 今後約3ヶ月に渡っての公開になるので、興味のある方は毎週楽しみにしてくださいね。観想などもコメント欄など利用して下さると、10年位前のいしじまえいわ少年も喜びます。

*1:400枚以上書いた友達もいたのだけど、話を終わらせられたのは私だけでした。また、私は以後一度も400字詰200枚にもなる話を書いていません。ピークが早すぎる…

*2:ちなみに私は当時『スレイヤーズ』を読んでいませんでしたが、友人にはファンが多く存在はよく知っていました。『ファンタジア』という名前がなんとなく『スレイヤーズ』を想起させるのは意識的なもので、当時そういうファンタジーものが流行っていたので当て馬的に命名したのでした。流行にあえておもねってみたり反抗してみたり、若かったんだなあと自分でも思います。作品内容にもそういう精神は表れているはずなのですが、それは読んで確認していただければ幸いです。

*3:太宰治の芸術に関するエッセイからとったタイトルで、私が入部した時にはすでに文学部のメイン冊子として号を重ねていました。いいセンスを持った先輩がおられたようです。

*4:こちらは詩などを主とした冊子でした。芸術の神ミューズにちなんだもので、7号まで続いたはずです。ミューズは7人いるので。

*5:「青外線」という意味。赤外線や紫外線があるなら青もあっていいだろう…と思って考えたタイトルですが、もちろんそんな不可視光線は存在しません。

*6:ちなみに私の高校では文化祭での出店には厳しい許可申請が必要でした。私は当然そんな手続きをするはずもなく、非合法的に売りさばきました。若かったんだなあ。