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アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

「アニメの制作費が安いのは手塚治虫のせい」というのは本当か

http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20070110/teduka
 仕事が回ってくるようにと手塚が制作費を大幅に下回る価格で放送を引き受けたのは事実。ついでに言うとアニメーターに高い給料を払って当時の東映など他のスタジオからスタッフの引抜をしたのも事実。
 神、自分の創作のためなら手段を選ばないところが恐ろしいぜ。




 とはいえ、アトム以前の国産劇場用アニメは結果らしい結果をほとんど出していなかったので、手塚がTVという新しいメディアでダンピングをしてまでして勝負をかけていなかったら、日本は他の国と同じく米国産アニメ輸入国になっていたでしょう。ディズニーやハンナ・バーベラの作品は今見てもすごいですから。
 そう考えると、世界でも類を見ない「米国産以外の商業用アニメーション作品」であるところの「アニメ」が生まれたのも、日本にアニメーターという仕事があるのも手塚のおかげなわけで、その給料や仕事の内容にまで文句を言うのは筋違いだと思います。件の発言をした宮崎は当時東映で売れない作品を作ったり労働組合でのストに失敗したりしていたわけで上記の引抜のことも合わせて考えても文句を言いたくなる気持ちは分からないでもないですが、その後のTVアニメの流行の中で仕事をもらってキャリアを積んで大成したわけで、恩を仇で返す発言もいいところとではないかと思います。
 まあクリエイターにありがちな反抗心や批判精神は手塚的には大歓迎でしょうけど。当時は宮崎自身これからという時だったので、ビッグになるぞ、大家を超えるぞという決意表明とも取れます。追悼文でそれをやるのはアナーキーにも程があるという気はしますが、クリエイターなるものそのくらいやってのけてナンボなのかも知れません。後年結果は出したわけだし。


 また、手塚の言い値がそのまま30年も続いてきたというのは単にどれだけスタジオ側が営業努力をしてこなかったかという話なので、「アニメの制作費が安いのは手塚治虫のせい」なんて本気で言っているアニメ関係者は企業努力や営業という概念を持たないよほどの無能かガチの宮崎信者か営業なんてことに頭が回らない(または回す必要のない)凄腕職人アニメーターかと思われます。


 ちなみに宮崎自身は知っての通り、凄腕職人アニメーターです。