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アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

『涼宮ハルヒの憂鬱』のED映像はどこがすごいのか。

http://www.youtube.com/watch?v=5GRkW-d0hTY&search=suzumiya
 リンク先は動画です。音が出るので注意。
 コメント欄にて質問があったので、ちょっと考えてみました。結論だけ一言で言うのは簡単なのですが、ちゃんと理由というか理屈まで説明するのは難しいです。そこでちょっとちゃんと考えてこの問に答えてみたいと思います。


 で、その前に質問が出てくる状況から説明します。
 現在深夜枠で放送中のTVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のED映像と歌が各所で評判です。動画を見ていただいたら分かるのですが、いかにもアニメのEDらしい静止画の合間に入るダンスのアニメーションがなかなかの出来で、初回放送時からそこそこ評判になっていました。どこかの在米男性が一人自宅で踊ったのをYouTubeにアップしたことと、日本の誰かがガンプラをコマ撮りしてダンスを再現した映像が出回り、そこから人気に火がつきました。その後様々な人が件のダンスを踊って映像をアップしたりパロディムービーを自作したり、ダンスを踊るためのオフ会を開いたりした模様です(参考。ここ。リンク先はyoutube)。またその映像の効果もあってかオリコン初登場時デイリー15位(参考。ここ)、最高で2位にまで上り詰めました。


 上記のような状況が前提として、質問は「あのEDのどこがすごいのか」です。何が視聴者をしてダンスを躍らせたりCDを買わせたりするのでしょう? 自分も一応アニメ研究者ですし、ここは試練と思って幾つかの説を挙げてみたいと思います。


①技術的な理由。

  • 最近のアニメでは例のような複雑な動きはモーションキャプチャリングするのが普通ですが、「ハルヒ」では昔ながらの手描きで、しかも毎秒30枚のフルアニメーションで制作されています。そういう京都アニメーション(制作会社)の技術力と職人気質に視聴者は打たれる。
  • また、当該のダンスの振り付けはアイドルグループのそれを参考にしており、アニメ的なごまかしや単純な循環動画ではなく、いかにも実際に踊れそうに見えるように作られている。そのため実際に踊って試してみたくなる(ちなみに映像の動きは早すぎて実際に踊るのは不可能っぽいです。あくまで「踊れそうに見える」、アニメ的表現ということです)。
  • 踊りのシーンが分断されているため一つ一つの振り付けがそれほど長くなく、素人でも習得しやすい。
  • 一人のダンスだと再現が簡単すぎるし、逆に武富士のCFみたいに人数が多すぎると再現不可能になってしまう。5人という数は集めてイベント的にやってみる人数としては適当である。


②作品内容的な理由。

  • 本編ストーリーと映像の背景から推測するに、EDのシチュエーションは「ハルヒ(女子高生)が部活仲間に振り付けを指導し、部室で踊りを強要している」というものだと思われます。視聴者はそういうシチュエーションに憧れたり自分の青春時代を想起させられたりし、共感する。
  • 上記のように、アイドルのPVなどのような「見るための踊り」ではなく「自ら踊る(正確には踊らされる)踊り」と解釈されるコードが内包されている(学校の校舎の中であること、制服姿のままなこと、男子部員も同じく踊っていること、など)。


 私が思いついた理由はこのくらいですが、これらの理由により、つまるところ


アニメファンをして強烈に「踊りたい!」と思わせることに成功している


 のがこのEDのすごいところだと思います。実際、個人的には白雪姫のダンスやコナンくんのOPのパラパラに比べれば、どちらかというと真似してみたいような気がします。まだしてませんが。


 …回答としてはこんな感じでいいでしょうか?