LM314V21

アニメや特撮やゲームやフィギュアの他、いしじまえいわの日記など関する気ままなブログです。

谷川流『涼宮ハルヒの暴走』、角川スニーカー文庫、2004

涼宮ハルヒの暴走 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの暴走 (角川スニーカー文庫)

 ずっと前に丹氏にもらった本をついに読み終えました。最近のライトノベルの傾向を知るためにチャレンジしたのですが、けっこう、というかかなりキツかったです。部分によってはヴェーバー先生の本よりキツかったかも。自分はラノベには向いてないんだな、と痛感させられました(これについては後述)。
 角川のライトノベルということで、かなりライトな感じの読み物でした。以下、基本的な物語設定。


 主人公(男子高校生)に涼宮ハルヒさんというやんちゃな女友達がいて(間接的に)その子に振り回される、というのがまあ話の筋です。実は涼宮ハルヒさんは世界を無意識的に支配している超存在で、主人公と彼女とつるんでる三人の友達は実はそれを監視する宇宙人と未来人と超能力者で、涼宮ハルヒさんは毎日つまんないから面白いことをしようしようと言ってるんだけど、彼女の気付かないところでタイムループに1万5000回くらいはまってたり宇宙的超存在に攻撃を受けたりする。


 ・・・みたいな話でした。うまく要約できてるか分からないけど、ホントこんな感じの話だったです。
 基本的にはキャラクターの魅力でひきつけるタイプの作品で、上記のようなSF的スケールのでかさや高校生活のドタバタなんかも味がある、みたいな雰囲気でした。


 で、私自身の感想はというと・・・キャラクターにはほとんど感情移入したり魅力を感じたりはなかったです。どの人物もステレオタイプすぎて同系統のキャラが浮かんできてかなり無理でした。主人公の斜に構えた独白文なんかに魅力を感じればよかったのでしょうが「語彙が多いなあ」と思いはすれどもそれが魅力に感じられることはなかったです。こういうのも、アニメなどあまり見ていない中〜高校生くらいだったら素直にハマれたのかも知れません。
 話自体は、まあ面白いのもあればキツいのもあり、という感じでした。三篇入っていたのですが、最後の書き下ろしのやつ(雪山で遭難したと思ったら実は・・・みたいな話)が一番どっしりしてて面白かったです。他のはハチャメチャ高校生ライフといった趣が強くてけっこうキツかったです。まあ私自身『究極超人あ〜る』の光画部にはかなり憧れたクチなので、若い子がこういうのにハマる心情はよく分かります。
 ただ私自身はもうそういう年でもないので、やはりこういうのはなかなか好きにはなれないし、こういうのを書きたいとも思いませんでした。自分自身はかなり長い間ライトノベル的なものを書く人だと自己評価していたので、自分の小説観についてけっこう考えさせられました(これについていろいろ書こうかとも思ったのですが、長くなるので割愛します)。こんなに若い層と感覚や嗜好が違うとは・・・まあそういう意味ではいい経験になりました。また、私の知り合いには何人かラノベ作家志望の人がいるのですが、これはけっこう大変だぞ、とも思いました(もちろん最初っから楽だとは思ってはいないのですが・・・)。